ジャンル・ダベルさんは、無駄話が好き♥( #無駄ジャン )

芳賀 概夢@コミカライズ連載中

自己紹介編

第1話:現ドラさんは、星が好き

「いらっしゃい、ジャンル・ダベル。ここが貴方の新しい世界【カテゴリ】です。とってつけたような名前でごめんなさい」


「最初のセリフから、ブッ込んできましたね!」


 緑の鮮やかな草原の中に、ポツン、ポツンと小さなログハウスのような家が立ち並んでいる。

 蒼天に浮かぶ日輪が、ほどよく暖かに照らしている。

 そんな景色の中に、ジャンルとその男の子は立っていた。


「僕の名前は、【現代ドラマ】。通称、現ドラ。神様から案内役を頼まれました。よろしく」


「はい。よろしくお願いします、現ドラさん」


「ジャンルは、16才でしたっけ?」


「そうですけど?」


「なるほど。可愛さと美しさの中間……微妙な魅力がある方ですね」


「えっ!?」


 二十歳ぐらいの青年である現ドラの口調は、抑揚なく一定のリズムだ。

 表情まで変わらないため、無感情に感じるものの、それでもいきなり正面から褒められれば、年頃のジャンルは赤面してしまう。


「シミひとつない白い肌、艶やかな金髪と、透き通る碧眼……なんて特徴的な人なんでしょう」


「そっ、そんな褒められても……」


「ああ、今のは読者への説明台詞なので気にしないでください」


「それ言っちゃうのが、気になりますよ!」


「でも、きれいな方だというのは本当です。特徴的で羨ましいです」


「そ、そんな……」


「ちなみに僕の特徴は、特徴がないことです」


「……か、返しにくいわぁ~……」


「事実です」


「そ、そんなキッパリ……どんな人でも特徴あるものですよ!」


「では、僕の見た目に特徴がありますか?」


 ジャンルは改めて、現ドラを見た。

 長くも短くもない髪、大きくも小さくもない目、高くも低くもない鼻、厚くも薄くもない唇、丸くも四角くもない輪郭。

 どこにでもいそうで、どこにもいなさそうな普通の青年。


「……ごめんなさい。今、私は自分の描写力の限界を知りました」


「いいんですよ。『現代ドラマって、どういうカテゴリーですか?』と尋ねられて、答えられる人なんて『数千人の内、数百人程度』しかいないのですから」


「分子も分母もあいまいすぎて、多いのか少ないのか判断しかねる確率表現ですね……」


「要するに僕の特徴は、個性が無個性で特徴がないところなので」


「ごめんなさい……なに言っているんですか? 意味が……」


「意味がないことに意味がある」


「本当になに言ってるんですか!? 別にかっこよくないですよ!?」


「なるほど。わかりにくかったようですね。それでは、現代ドラマらしい例で話しましょう」


「い、いや、あの……」


「とある職場の出来事です。ある男性社員がデスクで仕事をしていると、隣の女性社員が話しかけてきたのです」


「は、はあ……」


「しかし、仕事中ということもあり、女性社員は小声でした。そのせいで『あんたまだ決まらないんだ』という女性社員の言葉を男性社員は空耳してこう聞こえたのです」


「……なんて?」


「『アンパンマンは君だ』……男性社員は驚きました」


「そりゃ驚きますよ! いきなり隣の女性社員から小声で、そんな指摘されたら!」


「正体がばれてしまったのです」


「本当にアンパンマンだったんですか!?」


「ちなみにこの空耳は、作者の実話です」


「だからブッ込まないで!」


「というわけで、僕の自己紹介はこのぐらいで」


「待って! アンパンマンは現代ドラマじゃありませんよね!?」


「貴方が現代ドラマだと思ったものが現代ドラマなのです」


「私、思ってませんよ!?」


「それはともかく他の仲間も紹介したいのですが、それは★評価が入るかどうかで決めたいと思います」


「本当に何言ってるんです!? ブッ込むにしても、もう少し節度といものを……」


「ボク、不人気なので……現代ドラマの作者さんたちは、みんな★評価獲得に必死なのですよ……」


「か……返しにくいわぁ~……」






                    ――とぅ・びぃ・こんてぃにゅーどぅ?

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