第88話 内戦勃発

ルビアがフィーナに嫁宣言をした日の夜、オレ達は恒例の定期連絡をしている。しかし、今回は少し勝手が違う。いつも通りなら、数で劣るオレの側が終始低姿勢を貫くはずだった。いや、数の問題では無い。正直に言おう!オレが悪いのだ!!しかし、今回のオレ達・・・ルビアは血の気が多かった。


とりあえずオレとフィーナは、事の顛末を説明する。これはまぁ、良くある光景だ。本来、あってはならないのだが。全てを聞き終わり、スフィアが口を開く。


「そうですか・・・また嫁が増えたと・・・。」

「ねぇ、フィルフィーナ?自分に任せろって言ったわよね?」

「な、ナディア!?それは、その・・・ごめん。」

「あ〜、フィーナは付き人達の策で手が出せなかったんだ。だから、悪いのはオレだよ。」

「旦那様は悪くないわよ?そんなに嫌なら、その者達がルークに付いていればいいんだから。」

「わ、私達はルークの意志を尊重しているのです!!」


暗に城に留まった嫁さん達が悪いと告げるルビアに、スフィアが反論する。しかし、ルビアの挑発的な態度は変わらない。


「旦那様の意志を尊重ねぇ?嫌われるのが怖かっただけじゃないの?」

「そ、それは!?」

「私は何と言われようと、旦那様の元を離れるつもりはないわ!」

「そもそも、どうして今もルークにくっついてるのよ!?」


ナディアの指摘はもっともだろう。オレ達の体制は・・・通信が始まる前から、オレとフィーナは正座している。しかし、ルビアはオレの太腿に座り、首に手を回しているのだ。お陰で通信が始まった瞬間から、嫁さん達の額には血管が浮き出ているような気がしている。


「あら?妻となったからには、イチャイチャしても構わないでしょ?」

「場所を弁えなさいって言ってるのよ!」

「なぁに?ひょっとして、妬いてるの?いえ・・・意外と初心なのかしら?」

「はしたないって意味よ!」

「獣人の女なら、常に強いオスに抱かれたいと思うのは当然でしょ?それに、ルークったら凄かったのよ?初めての私に何度も何度も・・・おかしくなりそうだったわぁ。」


ルビアさん、生々しい会話はやめて下さい。オレがおかしくなりそうです。


「そ、そそそ、そういう事を他人に話すな!!」

「貴女達だって、経験済みなんでしょ?ルークのアレ。」


全員が固まり、真っ赤になってしまった。このままでは駄目だ。いよいよオレは、以前の発言を撤回する必要があるだろう。


「うーふ?(ルーク?)」

「ティナ・・・また食べてるの?じゃなくて、飲み込んでから喋ろうね?」

「うふふぉふぉふぉっふぇふぃふぇふぁふぉーふぇふふぁ?(1度戻って来てはどうですか?)」

「ティナの言う通りだね。」

「「「「「「「「「「だから、どうしてわかるのよ!?」」」」」」」」」」


ティナ以外の全員の声が揃う。なんだ、皆仲良しじゃないか!やっぱり大事な話は会ってするべきだったんだ。


「え〜と、エミリア?客間を2部屋用意して貰えるかな?」

「え?・・・・・は、はい!」

「ごめんスフィア、通信切るからね。」

「え?ちょ、説明して下さい!!」


スフィアには伝わらなかったようだが、エミリアは勘付いたみたいだ。あまり皆を待たせないように行動する必要があるな。オレは荷物を回収して、この場にいた全員に告げる。


「皆、オレに掴まってくれる?」

「旦那様?」

「説明は後でするから!」


渋々といった感じではあるが、全員がオレに掴まってくれた。説明は後回しにして、オレは城へと転移する。突如景色が変化した事で、皆は声を出せずにいた。


「ようこそ、フォレスタニア城へ。」

「フォレ・・・え?」


あれ?転移魔法の事、フィーナも知らなかったっけ?嫁さんが増えると、オレの頭じゃ整理しきれないな。これ以上増えたら、名前とか間違えそうだ。やはり美人耐性さんには頑張ってもらわないといけない。


固まっている皆に説明しようとした時、ドタバタと廊下を走る音が聞こえ、勢いよく扉が開かれる。


「ルーク様!お帰りなさい!!」

「おわっ!エミリア!?・・・ただいま。」


扉の方を向くと、エミリアが飛びついて来た。オレは押し倒されないように抱き止め、帰宅の挨拶をする。その間に他の嫁さん達もやって来たようだった。


「エミリア!抜け駆けはズル〜イ!!」

「さっさと離れなさい!」

「リリエルもナディアも落ち着いて!」


他の皆も加わり、一気に騒々しくなってしまった。短期間留守にしていただけなのだが、賑やかなこの場所がオレの帰る場所なんだと実感してしまう。言い争っている皆を眺めていると、1歩引いた位置から見守るようにしている2人と目が合う。


「ティナ!カレン!・・・ただいま。」

「はい。」

「おかえりなさい、ルーク。」


そのまま2人を抱き締めると、後ろから非難の声が上がる。


「「「「「「「「「「あぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」」」」

「ティナさん!カレンさん!ズルいです!!」

「ちょっとルーク!次は私の番でしょ!?」

「あわわわわ、ど、どうしよう?」

「こうなったら勝負です!戦争です!」


スフィア、ナディアに責められ、リノアはどうしたら良いのかわからない様子だった。最後のルビアの一言で、全員の動きが止まる。


「「「「「「「「「「勝負?」」」」」」」」」」

「誰が一番旦那様を満足させられるか、旦那様に決めて貰えばいいのよ!簡単でしょ?」

「ちょっと、ルビア!?」

「いいでしょう!受けて立ちます!!」

「スフィア!?」

「で?何の勝負をするのよ?」

「ナディアまで!?」

「男性を満足させると言ったら、夜のご奉仕に決まってるわ!」

「はぁぁぁぁぁ!?」


オレの叫び声だけが室内に響き渡る。しかし、嫁さん達の反応が無いのを不審に思い、それぞれを見回すと、どうにも目がギラギラと輝いている。これは・・・獲物を狙う肉食獣の目だ。身の危険を感じたオレは、緊急避難を行おうとした。


「て」

「カレンさん!」

「ん」

「はい!」

「いっ!?」


転移と叫ぶ一瞬で、オレは見事に捕らえられた。『て』の後にスフィアがカレンに合図を出し、『ん』と言ったらカレンが返事をした。最後の『いっ!?』は、カレンによって背後から床に押さえ付けられたオレの悲鳴である。


「ルーク?覚悟して下さいね?」

「カレンも参加するの!?」

「ルーク、これは私達の戦争です。今回は殺し合いではありませんから、誰にでもチャンスがあります。そんな戦いを前に、戦わずして負けを認めるような者をルークは好きになりますか?」

「ティナ・・・・・はい。おっしゃる通りです。」


生命の危険が伴うのなら、撤退を選べる者を評価するだろう。しかし、今回の場合は違うのだ。人や魔物と戦えないスフィアやリノアにも勝機はある。むしろ、自らの美貌という武器は、最大の戦力となり得るのだ。


その後立たされたオレは、カレンによって羽交い締めにされたまま、ルビアによって例の薬を飲まされる。


「この薬はまだまだ沢山あるから、安心していいわよ?」

「安心出来るか!!」

「さて、時間も限られていますから、明日の朝早い者から順番に始めましょう!」

「ひ、ひとりずつなの!?」

「「「「「「「「「「え!?」」」」」」」」」」


この時のオレは時間と体力の事しか頭になく、この発言を一生後悔する事になる。


「複数人の同時プレイをお望みなんですね?」

「え?あ、いや、エミリア?違うからね!?」

「そうですか・・・しかし、あまり大人数も問題ですね。」

「スフィアさん!?」

「では最初ですから、2・・・3人ずつ「1人ずつでお願いします!」そ、そうですか?」


慌ててお願いした結果、カレンの同意によって1対1が認められた。オレには複数人でのプレイは無理だ。自分、不器用ですから。。。


その後は想像にお任せするが、全員欲求不満だったようで倒れる寸前まで搾り取られた。人数が増えたので今回から5位までの発表となる。オレの評価基準は、主に頑張り度である。何の頑張りかって?


よしてくれよ。そんなのは恥ずかしくて言えないやい。



○昼の部○

1位 ティナ

2位 ナディア

3位 スフィア

4位 クレア

5位 フィルフィアーナ


○夜の部○


1位 カレン

2位 エミリア

3位 ルビア

4位 リリエル

5位 ティナ


あ、エミリアは嫁さんじゃないのか・・・。次回があれば修正しよう。無い事を祈る。しかし、薬ってスゲェな〜!

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