第93話 秘境スタートは基本(再)
ある日、私は火山の頂で目を覚ました。
「ここは……一体……」
そう呟いてみたものの実際ここが何処か気になっている訳ではなかった。
以前からは考えられない状況に一言零さずには居られなかった。
「こういうのは普通何も分からないものなんだけどねぇ……」
手をじっと見つめ、開いたり閉じたりしてみる。
「まぁ、チュートリアルにしては難し過ぎる状況だし丁度良いかも……ねっ‼」
岩影に隠れていた球状で無機質な印象のある生物から石を引き剥がした。
石を抜き取られた生物は粉々になり風と共に何処かへ行ってしまった
「大きさの割に大したことなかったね。
手助けは要らなかったみたいだけど、ありがとね」
「我々にも気付いていたのですか……
驚きなのです」
「見に来てみて正解だったのです」
「やっぱり偶然通りかかるような場所じゃないと思ったら何かあったみたいだね」
「そのあたりの事情は ‘としょかん’ で説明するのです。
さっさとついて来るのです」
「お前に聞かなくてはいけない事もいくつかあるのです」
「「我々は長なので」」
こうして有無を言わさず ‘としょかん’ に連れさられるのであった。
※この内容は2018年6月14日に公開されたものの再放送です。
「ふふふっ……なんでこのタイミングでそんな
フフフッ((🐦))
見て!アノンちゃんが笑ってるよ!かわいいね
アッ>🐦
アノンちゃんが笑うのをやめてしまいました。
笑ってはいけないというルールのせいです。あーあ
\ デデーン! アノン アウトー /
「そういえばそうでした!……痛っ!?」スパーン!!
黒子姿のオイナリサマはアノンにペナルティを与えると第1話の再放送を映していたモニターを片付ける。
「やっぱり守護けものって大変な仕事なんですねぇ……」
何故か同情しているアノン。
どう考えてもこれは守護けものがやるべきことではないのだが。
「さて、石板も残り一つですし、はやく終わらせちゃいましょうか」
気合いを入れ直すアノンのこの発言に違和感を覚えた読者は居るだろうか?
そう、前回までに戻した石板はまだ一つであり残りは三つのはず、と思うことだろう。
だが少し待って欲しい。
前回の更新から3ヶ月近くも間があって何の進展もないなどあり得るだろうか――
当然そのようなことはなく、妙に律儀なアノンは描写されていないところでもコツコツとフィルター修復作業を行っていたのである!
……とはいえカットされるような部分よりも物語として語られる部分の方がハプニングも多いというのも事実。
最後の一仕事を妨害しに来たかのように2メートル超の土偶型のセルリアンが立ちはだかっていた。
「あっ、これは無理なやつですね」
\ダレカタスケテー/
🐦
声を聞き付けた誰かが来てくれるまでの時間を考慮して最初から助けを求めておく。
追い詰められてからでは手遅れなので極めて正しい判断である。……彼女が主人公でなければ。
いざという時のために飛んで逃げる体力を温存しつつセルリアンが振り下ろす重量感のある腕を避け続ける 。勝ち目?そこに無ければないですね。
耐えること数分、ようやく助っ人が姿を現した。
「アノン!良く耐えたわね!」
「この展開、げーむで見たよ」
ギンギツネとキタキツネだ。
助けに入れないほど忙しくなることを見越したオイナリサマがあらかじめ呼んでおいたのである。
再登場となるギンギツネもある意味忙しいのだが他のフレンズが来たがる様な場所でもないのでキャスティングの都合上仕方ない。
「助かります!でもこのサイズのセルリアン相手に二人だけでは……」
当然の如く自分を戦力として数えていないアノン。
正しいといえば正しいのだが、主人公として本当にそれで良いのだろうか?
「私達なら大丈夫よ。さぁ、実験を始めましょう」
アーユーレディ? イェーイ!
\ ギンギツネ ジーニアス! /
「うん、ノーコンテニューでクリアするよ」
輝け♪ 流星の如く~
黄金の最強ゲーマー
\ ハイパームテキ キタキツネ! /
「まさかの仮面フレンズ!?」
しかもいきなり最終フォームである。
ギンギツネ単体だと若干
「一撃で決めるよ!えーい!」
先手必勝と言わんばかりにゲームで見たらしいキタキツネのド派手な必殺技が炸裂する。
チュドォーン!!
....何故かセルリアンが砕け散るのではなく爆発したが詳しい理由は不明である。特撮などでも良くあることなので気にしないで欲しい。
「なんか度々ありがとうございます」
助けに来てくれた二人にペコリと頭を下げるアノン。
そこまで急ぎの用ではないのでそのあたりは欠かさない。
「いいのよ。私も実験に来ただけだもの」
とは言いつつどこか誇らし気だが実際のところギンギツネに関しては何かを作っていただけで何もしてない。
アタッカーは十分なのでサポートに徹したことはある意味論理的なのだが。
「もう少しで作戦終了だよ。頑張ってね」
そのまま二人に見送られ最後の目標へと向かうアノン。
一方、見送った二人はコッソリと岩陰に隠れて見守っていた。
客観的に見てはじめてのおつかいか何かとも思える状況になりつつもなんとか最後の石板を納めたアノン。
そのおかげか火口にうっすらと輝く虹色の膜が発現した。
「綺麗ですね……。これがあればセルリアンから守られるというのも不思議な――はっ!?」
何の気なしに呟いた内容が自分にとって重要なことだと気付いたアノン。
この数時間後、湖畔に住む建築家達の元に「家をフィルターで囲って安全性を増したい」などという無茶な注文をつけるサヨナキドリのフレンズが現れたとか現れなかったとか……
めでたしめでたし
*
「さて、計画は順調みたいだね。
フィルターを修復したつもりだろうけど甘々だよ。
気付かれる前にバックドアを使って次の目標を――」
「今度は何をどうするつもりなんですか?リンちゃん?」
「かばんちゃん!?何故ここに!?自力で出演を!?」
「ふふっ、なんですか。それ。
本当は分かってますからそんなに慌てなくても大丈夫ですよ。
どうせ例の勾玉関係で出掛けないといけなくて、せっかくだから悪役っぽい意味深なセリフを言ってみたくなったとかそんなところですよね?」
「確かにそうなんだけど、理解の精度が高すぎない?
まぁ、ちょっと手出ししてすぐ帰ってくるよ。あんまりできることはないとでも言っておけば疑う余裕もない状況だしね」
「それならしっかり手伝った方が良いんじゃないですか?」
「ダメダメ。それをすると必然的に密になるからね。
ソーシャルディスタンス!」
「帰って来たら手も洗わないとね!
私も自慢の爪の隙間までしっかり泡立てちゃうよ!うみゃみゃみゃみゃー」
「サーバルちゃんまで巻き込んで遠回しに不要不急じゃないことをアピールしなくても行ってきても大丈夫ですよ?」
「うん、じゃあ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます