第50話 博士曰く、「鳥類に関してはラッキービーストより詳しいと自負しているのです」

「原稿を取りに来てみれば、なかなかの大所帯なのです」


「まったくなのです。見馴れないサヨナキドリのフレンズも居るようですが、そんな事はどうでも良いのです」


「「早く例の物を確認させるのです」」


単刀直入に用件を述べる2人に原稿を手渡すタイリクオオカミ。

受け取った2人は即座に原稿をパラパラと確認している。


「脚色が過ぎるところもありますが、まあ良いでしょう」


「元が元だけに多少美化したくらいが丁度良いのです」


「確かに受け取ったのです。

では、我々はこれで――」


「ちょっと待って下さい!

先ほど言ってたサヨナキドリについて教えて貰えませんか?」


用件だけ済ませて去ろうとする2人を呼び止めるアノン。

当然ではあるが、「そんな事はどうでも良い」と言われた事を根に持っている訳ではなく、純粋に知りたい事だからである。


「そうですね、サヨナキドリといえば美しい鳴き声で知られる鳥で――」


サヨナキドリの特徴や習性について客観的な内容を話す博士。

一通りの説明を終えると、主観的な意見を付け加える。


「慣れない場所での暮らしは寿命を縮めるのです。

それを考えると図書館の辺りで暮らすのが良いでしょう。

しかし、せっかくこの体に生まれたのです。何が向いているかより、何がしたいか考えて生きると良いのです」


「当然、図書館で暮らしたいと言うなら歓迎するのです。

我々は、賢い者と知識を求める者には最大限の敬意を払うのです」


優しく微笑みかけると、2人は図書館の方へ飛んで行った。



博士も助手も、知的で優しくて、カッコ良かったなぁ……。



若干誤解している鳥の少女は、しばらくの間、純粋な瞳で窓の外を見上げ続けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る