第89話 大成、先輩の代理として先輩の妹と勝負をする事になる
「そ、それもそうだ。あたしもちょっと頭に血が上ってたのは認める」
それだけ言うと
「・・・じ、実は・・・兄様が四時間目の体育の時間に怪我をして・・・学校の車で病院へ行った」
「「はあ!?」」
俺と青葉は思わず顔を見合わせてしまった。おいおい、これって、まさかとは思うけど・・・
「あたしが担任の
「そうだったんですか・・・」
「どう見ても、これは
「えー!それは勘弁してくださいよお。俺だって信じたくないですよ」
「そうだよ、
「だが、去年の男子テニス部の例がある。これが呪いでなければ何をもってして呪いと言えばいいんだ?」
「「・・・・・ (・_・;) 」」
「と、とにかくこんな状態の兄様が貴様と試合をするのは絶対に無理だと鬼鹿先生は言ってるし、
「そうですか・・・」
「だが、兄様に『不戦敗』などという不名誉な事をさせる訳にはいかない!だからこの勝負、あたしが代わりにやる!」
「ちょ、ちょっと待ってください!俺は別に不戦勝だとかそんな事は言いませんから、怪我が治った後に試合をすれば問題ないと考えますから落ち着いて下さい!」
「そうですよ、大成の言うとおりです」
「だが、それでは兄様にとって汚点となるから、そんな事はあたしがさせない!それに柔道部に呪いが降りかかったままだ!そんな事はあたしがさせない!あたしが呪いを解く!!兄様の不名誉はあたしが晴らす!!!」
「ですから落ち着いて下さいよお」
「あたしは常に冷静だあ!」
「その態度が既に冷静じゃあないですから」
「あたしは冷静だ!とにかくこの勝負、受けてくれるまであたしは引き下がる気はなーい!」
おいおい、マジで勘弁して欲しいぞ。仮に石狩先輩が体育の授業で怪我をしたのは事実だとして、どうして妹である石狩さんが俺と勝負するんだ?それに『勝負』という言葉を使った以上、石狩先輩の言葉ではないが今度は女子柔道部に呪いが・・・
い、いや、今までの例は青葉とのデートを賭けた勝負だったけど、今回は見方を変えれば女の子が俺に勝負を挑んだのだから、青葉とのデートを賭けた勝負ではない・・・
それに、これは青葉にとっては朗報だ。仮に俺が負けても「石狩先輩は不戦敗です。だからデートの話は無効」と言って逃げる事が可能になる。
俺と青葉は困惑した表情で顔を見合わせた後に小声で相談を始めたけど、どんなに説得しても石狩さんが黙って引き下がるとは思えない。だから勝負を受けるしかなさそうだという結論に達して、その勝負を受ける事にした。
そのまま石狩さんと青葉は二人して食堂を出て行った。多分、鬼峠先生のところへ行ったはずだ。鬼峠先生は恐らく試合そのものを中止すべきだと言って反対するだろうけど、石狩さんも青葉も引き下がるとは思えないからなあ。それに、いつの間にか周囲が騒いでるぞ。これで試合が中止になったら鬼峠先生も何を言われるか分からないから認めるしかないはずだ。
だいたいさあ、周りにいる連中は早速勝敗予想を始めているし、何を勝手に盛り上がってるんだあ!?
「・・・どっちが勝つと思う?」
「さすがに今度は駒里だろ?」
「いや、
「その話、オレも聞いた事があるぞ。結構いい勝負をするらしい」
「石狩先輩は駒里を圧倒するんだろ?その石狩先輩と女子なのにいい勝負をするって事は・・・」
「駒里は石狩兄妹には勝てないのか?」
「おそらくそうだろうな」
「おっし、太美ちゃんの応援をする事に決めた!」
「オレも賛成!」
「同じく賛成!」
「賛成!」
「それにしても駒里の奴、今度は柔道部に呪いをかけやがって」
「それなら、なおさら太美ちゃんを応援しないとな」
「そうだな、駒里に勝ってもらっては困る!」
「そうだそうだ!」
「おれは絶対に試合を見に行くぞ」
「当然、おれも行くぞ」
「右と同じ!」
「同じく!」
おいおい、俺は石狩先輩の時以上に
それにしても・・・俺は本当に『災いをもたらす男』なのかなあ?
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