第25話 大成、今日の稼ぎを没収される
ただなあ、帰ったら
「何で電話なりメールをしなかったんだあ!」
「はあ?」
「だーかーら、何で電話なりメールをしなかったんだあ!」
「ちょ、ちょっと落ち着け!」
俺は緑が烈火の如く怒ってるけど何故怒っているのかが分からなかったから宥めるのに必死だ。
「
「そうねえ、みどりーん、お兄ちゃんは困ってるみたいだよー」
「楓!お前の辞書には『急ぐ』とか『慌てる』という物がないのかあ?」
「あるよー」
「だったら、俺のフォローをしてくれ!」
「でもねえー、今日はお兄ちゃんが悪いんだよー」
「はあ?」
「今日の夕飯が何だったのか覚えてるのかなあ?」
「夕飯?・・・あーーーー!!!!」
そうだ、思い出した・・・今日の夕飯は楓と緑の入学祝いを兼ねて、爺さんと婆さんを含めた6人で久しぶりにロイヤルポストで外食にするっていう約束になってたんだ・・・。
「す、すまん、すっかり忘れてた・・・」
「バカ兄貴の帰りが遅いから母さんが電話したら、青葉ちゃんと二人でお菓子を食べながらビデオを見てるって言ってるし、しかも夕飯も御馳走になったとか言ってるから、こっちは冷蔵庫にあった残り物と蕎麦になったんだぞ!どうしてくれるんだあ!」
「・・・・・ (・_・;) 」
「まあ、今度の日曜日の昼に行く事にしたけど、その代わり兄貴は午前中に自治会のゴミ拾いに行ってこい!」
「分かった・・・」
「それと、今日のバイト代、いや小遣いは全額没収だあ!」
「えー、それは勘弁してくれよお」
「問答無用!」
「・・・分かった」
「お兄ちゃーん、これで日曜日はウチとみどりんだけパフェ食べるからねー」
「・・・好きにしろ」
「余ったらお兄ちゃんにも分けてあげるからねー」
「楓も緑も甘い物は別腹だろ?残る訳ないじゃあないかあ!」
「あー、それもそうだったねー」
「そういえばさあ、青葉もそうだけど、それだけ食ってどうして太らないんだ?どう見ても摂取カロリーの方が多いだろ!?」
「そうねえー、結構鍛えてるっていうのもあるけどー、たぶんー、みどりんもウチも本質的には太らない体質だと思うよー」
「
はー・・・何とか楓も緑も鉾を収めてくれたけどマジで今日は三人の女子高生に振り回されたぞ。
まあ、母さんたちは俺の失敗作のたい焼きを全部渡したら「今日のところはこの辺で勘弁してあげるわよー」とか言ってたけど、別に怒ってる訳ではなかった。ただ、俺の失敗作は俺以外の五人の胃袋に収まって、俺が食べる事は無かった。
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