第41話 エクスターミネーションレイ

 俺たちが叫ぶと、フェニの身体から膨大な火が噴出し、周りを溶かし出した。俺たちにも熱風が当たる。

 その熱風でオーロラの出したホワイトアウトも消えた。

「何?」

 オーロラが驚いている。

「ゴッドアロー」

 俺がゴットアローを射ると、オーロラの身体に当たり、身体が飛び散る。

「今だ、扉に飛び込むぞ」

 俺たちは部屋の後方にある扉に走った。

「ウォーターカッター」

 マリンがウォーターカッターで氷の扉を切り崩す。

 その扉を破って、部屋の中に入ると巨大な氷の塊の中にオーロラが居る。

 だが、このオーロラは氷で出来ていない。肌は白いが、透き通ってはいないし、髪も黒だ。第一、唇が赤く今までの氷のオーロラとは違う事が分かる。


「「ファイヤーボール」」

 ミュとネルがファイヤーボールを氷の塊に投げるが、氷の塊の一部を溶かしただけで、ファイヤーボールは消える。

 溶けた氷も直ぐに元通りになった。

「ホホホ、よくぞここまで来た。だが、お主らもここまでじゃ」

 氷の塊の中のオーロラが言う。

 すると、その氷の塊から、氷で出来たオーロラが出てきた。今まで、俺たちが相手をしていたのは、氷で出来た人形だったのだ。

 だが、出て来た氷の人形は一体ではない。次から次へと出て来る。

「「「「「ホワイトアウト」」」」」

 何体のオーロラ人形が居るのだろうか。全員が、ホワイトアウトを叫ぶと今までは違う吹雪が吹き荒れる。

「カン、カン、カン」

「チン、チン、チン」

 結界にアイスアローとアイスレインの当たる音がする。結界があるので、俺たちが凍ることはないが、ホワイトアウトと氷魔法でここを動くことが出来ない。

 そのうち、更に強い魔法で、吹き飛ばされる可能性もある。

「エリス、悪魔退散の魔法はやつに対しても有効か?」

「当たり前でしょ、私を誰だと思っているの」

「では、やつを退治してくれ」

「あの氷の塊から出て来ないと無理。氷の屈曲でエクスターミネーションレイが届かないわ」

 海面を見ても水の下が見えないように、氷の外からでは、表面が光を屈曲してしまうため、そのままエクスターミネーションレイを撃ってもオーロラには届かないらしい。

「なら、ミュとネル、このホワイトアウトを消すと同時に氷の塊に向かってファイヤーボールを投げつけてくれ。その溶けた所にマリンがウォーターツリーをぶち込むんだ。

 エリスはそのウォーターツリーから、エクスターミネーションレイを打ち込むんだ」

「でも、どうやってこのホワイトアウトを消し去るの?」

「携帯レールガンを使う、銃身が焼けてもいいから、とにかく撃ちまくれ。狙いは定めなくてもいい」

 ラピスとエミリーが携帯レールガンを構えた。

「フェニ」

 俺が呼ぶとフェニが来た。

「携帯レールガンを打ち込むから、隙が出来たら、オーロラ人形に突っ込んでくれ。倒せるだけでいい」

「ピー」

 フェニが鳴いた。

「よし、行くぞ、ファイヤー」

「ドン」

「ドン」

 ラピスとエミリーが携帯レールガンをぶっ放す。

 次の弾の充填時間がかかるため、連射が出来ないのが難点だが、充填が出来た時点で再び携帯レールガンをぶっ放した。

「ドン」

「ドン」

 その時、天上からフェニが下を目がけて突っ込んだ。

「ドーン」

 何かに当たった音がする。すると、ホワイトアウトの中に少しだけ、向こうが見えた。

「ゴッドアロー」

「ドン」

「ドン」

 俺のゴッドアローに続いて、携帯レールガンを発射する音がする。

「パリン」

「パリン」

「パリン」

 氷の壊れる音が3つした。

 すると、ホワイトアウトが止んだ。

「今だ!」

「「ファイヤーボール」」

 ミュとネルのファイヤーボールが氷の塊に飛ぶと、当たった所が高温で溶ける。

 だが、溶けた所は直ぐに凍り始める。

「ウォーターツリー」

 マリンがウォーターツリーを出し、その溶けた所に投げ込むと、投げ込んだウォーターツリーが固まり、氷の円錐柱が出来た。

 これは海の底を見る為の箱メガネの原理だ。

「エリス!」

「分かってる」

 エリスが翼を出し、白く輝く身体で、突き刺さった円錐柱の底に右手を置いた。

「エクスターミネーションレイ!」

 エリスの右手から白く輝く光が出て、氷の中を走って行き、氷の中にいるオーロラに当たった。

「ギャー」

 オーロラが白く包まれるとその身体が徐々に小さくなっていき、最後には白い魔石だけが残った。

「ファイヤーバズーカ」

 ミュが手からファイヤーバズーカを出し、氷の塊を溶かし、溶かした穴に入って行く。

 ミュは、オーロラが居た所までたどり着くと、白い魔石を回収し、入った穴から出てきた。

 すると、氷の塊が壊れだす。

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