Episode10

遅くなりました。課題やらなんやらに追われて予約投稿をし忘れてました。

ごめんなさい。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「よし、今日はこれで終わりだ。気を付けて帰れよ~」


俺のクラスの厳つい担任(34歳 既婚)城山東吾(しろやま とうご)が緩めの口調でそう言うとクラスのみんなはぞろぞろと教室を出て行った


「さて、俺も帰るか」


今日から優は文芸部の活動が再開するので帰り道は俺一人だ

昇降口に続く階段を降りていると俺の少し後ろから女の子が大量の課題であろうワークを抱えながら階段を下りているところだった

たぶん校章の色から見て1年生だろう

俺たちの学校の校章は学年によって周りの細い線の色が異なっている

1年は赤、2年は緑、3年は青だ

だから2年生の俺が今つけている校章は緑だ

彼女のつけている校章の色は赤だった

だから俺は彼女が1年生だろうということが分かったのだ

それにしても危ないな・・・

ぐらぐらしてるけど大丈夫か?

そんな風に思いながら階段を最後の段まで降り切ったところで「あっ・・・!」という声が後ろから聞こえた

何だと思って振り返ると、バランスを崩したさっきの子が階段から転げ落ちてくるところだった

転げ落ちてくるときに一緒に抱えていたワークも宙を舞い、階段に散らばった

当の本人もごろごろと階段を転がってくる

そのときにスカートの中も見えてしまった

白だった

その子はお尻をこちらに突き出したままのびている

そんな漫画かアニメのような予想外すぎる出来事に俺も固まったまま何もできないでいた

とりあえず何かしよう、そう思った俺は散らばっているワークを回収し始めた

彼女をそのままにしておいたのは単純に目を覚ますまで時間がかかりそうだと判断したからだ

俺がワークを集め終わって彼女を起こし、一件落着

もし目を覚まさなかったら保健室までおぶって行こうと思っていた

五分後、ワークを拾い終わった俺は気を失っている彼女を起こそうと彼女の体勢を無難なものにし、彼女の身体を揺すっていた


「お~い、大丈夫か~?」


どう見ても大丈夫ではないけど

割とどうでもいいことだが、体勢を無難なものにしてから気づいたことがある

この娘がめちゃくちゃ可愛いということだ

え、そんなことどうでもいいって?

だから最初にそう言ったよね

「割とどうでもいいこと」って

でも、どこかで見たことがあるようなという既視感(デジャブ)が俺の頭にモヤッとした何かを残した

俺はしばらくそれが一体なんなのかということに思考を持っていったが、捕まえられそうなところでスルッと逃げられるような感じで埒が明かない

あと一歩のところで思い出せず、いらいらしていたところにすっかり放っぽってしまった女の子の姿が目に入った

はぁ・・・とりあえず彼女を保健室に運んでから考えるか

保健室までおぶって行こうとしたがこれではおそらくずり落ちてしまう

幸い、周りに人の姿は見えず、部活中だからか校舎はかなり静かだ

仕方なく彼女を俗にいうお姫様抱っこで保健室まで運ぶことにした

・・・なんだろうこの既視感

保健室の前まで来てから彼女をおろし、保健室のドアを開ける

保健室特有のにおいが廊下に漏れ、ドアが開いたことで保健の先生もこちらに気づき、ぐったりした女の子を見て何事かと駆け寄ってきた


「えっと、2年の「ど、どうしたの、その子!?」日向で、す・・・」


保健の先生は50代くらいの優しそうな女性で、物腰が丁寧でなにより優しい!ということで生徒からの人気が高い先生だ

俺はこの子が階段から落ちてきたことと、この子が持っていたワークをこれから提出しにいく旨を伝え、保健室から出た

その後、1年の先生に事情を説明してからワークを渡し、帰路に着いた

帰路に着いた時にはもう昼をすぎていた

すっかり遅くなってしまったので、駅の中の某有名ファーストフード店で昼食をとって、家に帰った

家に着いてすぐにフィミニスを被り、俺は正式サービス開始からずっとプレイし続けているWOVの世界へと旅立った



――――――――――――――――――――



ログインして、いつもなら来ているはずのエミからのメッセージがないことに気が付いた

彼女はログインしてすぐにメッセージを飛ばしてくるのでそれが来ていないということは、今日はまだログインしていないということになる

久しぶりにソロでクエストを消化するかと最近存在を知ったクエストボードへと足を向けた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る