郷土史

その先は

天使ではなかったが

郷土史を書いている

血筋柄

間引きをめぐるたたかいでは

分が悪い

体裁も

筆先からこぼれる

風切羽の澱に

くしゃみした

剥製の貌で凝固する

土が

肌に黝く沈んでいるのを

甲羅をぬいで

はじめて知ったようだ

洟をなすって

洗いもせず乾かした

襟もとと袖のように

頑なな石灰質を

漬物石でくだいた

ひょうしに舞い上がった澱に

角膜はこわれて

爾来

虹が伸びて

視界を撓ませるので

視点がさだまらず

泣いているのか

わらっているのかわからない

貌だと

ひとに言われた

もいだ

四肢の一箇の

根もとにぽっかりのぞいた洞に

間引きをめぐる顛末を

まるめて

つめて

唾でかためて

義足としている

それで宵ごと

花火のけものみちを

灯りももたずけんけん

けんけん

ぱしてたどりつく天使の

墓前

ファーウェイの

ワイヤレスから粘つく

Gmがふれると

領される腫瘤が

ひき結んだ尻で

しゅっしゅ

はだか踊り

ふるさとはこの

體の

ささえであり

崩れである

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