俳句?

謂れなき穢れが欲しけりゃくれてやる

眼を閉じて幽霊の眼で夏を見る

眼球は眠り喰う星融ける星

高所だけ母の吐息が聞こえない

人間の国に倦む旅に明け暮れる

古書の裏青ペン書き込み手が触れる

立つ鳥の跡を濁すは無数の眼

白い幹白い雨脚に爛れゆく

小禽をひらいて閉じては死んでいる

水族館真夏の朝日が付け火する

高架線雨滴と礫で水たまり

まだ生きることに驚くわが両手

次の国連れ子はいずこで雨に遭う

鳩が飛ぶ災いだけが空を飛ぶ

気をつけろスパイがいるぞと付喪神

鳥の骨魚の羽根に生え替わり

猫がゆく物乞い後追い笹分けて

警察犬吼えるフェンスを噛み砕く

廃工場漏れ出す油は虹の色

舌を打つ唾液の底で朝を待つ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る