第一章 彼女はどうやら変態みたいだ

第一話

皓月寮、、それは、特別な理由で他の生徒と同じ寮で過ごせない者達を集めた私立光瑛大学付属高等学校の男女混同になった寮であるー!。



十分前ー。

描かれた地図通りに進むと皓月寮と書かれたボロ屋敷が見えてきた。

「ここ、だよな?」

チャイムを鳴らすが反応は無い。

恐る恐る寮の中へ入ると不気味なほど人の気配は無く、床の軋む音が鳴る。

(だ、誰もいない、、なんか怖いし)

「あーの?」

肩を叩かれ振り向くと血のこびりついた包丁を持った少女がいた。

「ひ、ひぃっ!」

逃げ出し咄嗟に近くの部屋に入った。

(やば、反射的に逃げた)

「どうしたの?」

目の前に立っているのは何も着ていないそう、生まれたままの姿をした少女なのだ。

「い、いやぁぁぁぁッ‼︎」

「夕方から騒がしいな、、、本当に来るとは思わなかったぞ、冴塚弟

「有希姉っ、一体誰のせいだっ‼︎」

声のした扉の方を向くと姉の友人で手違いを犯し俺をこの寮に入れた張本人、荒上有希だ。

「人のあげあしは取るものでは無いぞ、冴塚弟」

「あんたの辞書に反省の二文字は無いのかっ!」

「当然だ」

「胸を張って言うことじゃないっ」

「そういうところあいつに似てるな」

「あんたと関わってると姉ちゃんの苦労が理解できるよ」

「私にそんな偉そうなこと言っていいのか?弟くん」

「えっ?ま、まさか、、」

「悲しいことにバラすしかないようだ。ああ、なんとも残念だ」

写真のようなものを数枚取り出して、チラチラと見せつけてきた。

「有希先生、それ何ですか?」

「な、何でもないっ!」

有希姉から写真を奪ってカバンに入れる。

「面白くないなぁ」

「人をからかっておいて、、」

「そうそう、お前の部屋はこの部屋の前にある部屋だ。好きに使え」

有希姉が出ていった。

「さっきの写真見せてよ」

「見せないよ」

「ケチ」

「と、とりあえず、俺は冴塚圭太。よろしく」

「私は一年の鈴川藍華、よろしくね。冴塚くん。部屋に荷物置いたらリビングに来て。自己紹介みんなでするから」

「あ、うん」

自分の部屋だと言われた104号室に入ると五畳半くらいの部屋が広がっている。

荷物を置くとカバンから紙きれがひら〜っと落ちてきた。

「ん?、えっと」

『ケイタへ

口で言うのは恥ずかしいから手紙で言うね

私は一年生の時からあなたのことがずっと好きでした

付き合って下さい

千紗より』

と書かれていた。

(ら、ラブレターッ⁉︎。千紗ってなんか聞き覚えるような、無いような)

「おい、冴塚弟っ。私は待ちくたびれた。さっさと降りてこい」

慌ててラブレターをカバンに戻す。

「は、はい、今行きます」

そのまま下へ降りると鈴川さんがいた。

「ごめんね、ゆっくりしたいのに呼び出しちゃって」

「だ、大丈夫。みんなといたほうが楽しそうだしね」

「君が新しく皓月寮に入った子?」

「はい。初めまして、編入ですけど一年の冴塚圭太です。よろしくお願いします」

「私は二年の高瀬佳織、よろしくね〜」

「俺は二年の蔵敷秋斗、よろしくな。冴塚」

北海道名物土産青い恋人を机に置く。

「は、はい、よろしくお願いします」

さっき廊下で悪戯をしてきた人が血のりをつけたままリビングへ入ってきた。

「ハーロゥ。私、三年の宮野美夏だよ。よろしく〜、転校生くん」

「は、はぁ」

「宮野先輩、血のりを洗い流してから来てください」

宮野先輩が鈴川さんに洗面所へ連れていかれた。

「どうだ?冴塚弟。賑やかだろ?」

「・・・、楽しそうですね」

「お前も飲め飲め、冴塚弟」

顔を赤くした有希姉がビール缶を出してきた。

「もう酔ってんのかよ」

「あ、有希先生、また酒飲んでる」

風呂から上がってきた宮野先輩と鈴川さんが有希姉の両サイドに座った。

「ねぇ、ゆっきー?」

「有希先生と呼べ〜、宮野」

「ゆっきー、なんで冴塚くんのことを冴塚弟って呼んでるの〜?」

「んー、あー、そいつ私の親友の弟だからな〜」

「そうなの?冴塚くん」

「まあね。俺の姉とは中学からの親友らしくて」

「冴塚弟の秘蔵写真〜」

有希姉が写真を出した瞬間取り上げ、ポケットにしまう。

「気になるよ〜」

「き、気にしないでください」

それからご飯を食べ、二時間くらいゲームをすると解散した。

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