主要構成要素

 浦島太郎で重要な意味を持つのが「亀」だ。


 所謂、空飛ぶ円盤を想起させる。

 しかし、「空飛ぶ円盤」はチープの代表とも言えるワードだ。もし、亀=空飛ぶ円盤説を採用するなら、徹底的に詳しく描写し、リアリティーを持たせる必要がある。


 一方、竜宮城は何百光年も彼方の天体ではなく、海底にあったという説なら、亀は潜水艦ということになる。


 それもまた面白いが、何故海底に都を作ったのか、或いは海底でなければならなかったのか、謎が出てくる。竜宮人は人間ではなかった?竜宮人は海底に住まなければならないどうしようもない理由があった…。


 あえて、特殊相対性理論を採用しないのもアイデアの一つだ。



 次に重要なアイテムは「玉手箱」だ。


「開けてはならぬ」と言われた箱を開けてしまうのはパンドラの箱と一緒だ。


 人間はしてはいけないと言われると、好奇心からやってみたくなる。それに対する教訓的な意味あいがあると考えるのが当然の解釈の仕方だが、この辺もいじってみると面白いかもしれない。


「玉手箱」は当時の人から見たら箱にしか見えない、何か分からないものだった、というのも面白いのではないだろうか?

 通信機とか、コンピューターとか、宇宙船か、物語には書かれていない機械のコントロールボックスとか…。



 御伽草子の「丹後浦島伝説」では太郎が釣りをしていると亀ばかりが掛かるので、逃がしてやると、二三日後に難破した船を見つけ、そこに女が乗っていた、というものもある。

 女は亀の化身で、高飛車なことに船を漕いで自分を故郷に連れて行って欲しいと太郎に訴える。

 ここで言う船は波の高い沖合を航行する渡海船として描かれているものが多く、浦島太郎漁師説にも矛盾が生じる。

 当時の漁は、陸が見える程度の沖合で漁をするのが精一杯で、船は高波にも弱く、羅針盤もGPSもソナーも無い時代に沖合いに出るのは相当高等技術が要求される。通常なら、漁は海岸近くに限られるだろう。


 よって、浦島太郎が遠洋漁業をしていた可能性は少なく、沿岸しか航行出来ない小舟だろう。

 それでは太郎は何故、渡海船を操れたのか?


「渡海船」とは文字通り外海を航行する船だったのか?本当は太陽系を超える旅をする宇宙船だったのか?或いは海底を進む潜水艇か?


 また、亀があっという間に美女に変身したという話もある。


 また、「亀」が「浜」に到達した時、それを見ていたのは浦島太郎と悪童だけだったのか?他に目撃者がいなかったとは何処にも書かれていない。


 もっと大勢の人が目撃した、一大センセーショナルな事だったのではないか?

 だからこそ、後世まで長く語り継がれたのでは?




「亀の恩返し」と言うのにも穿った考え方ができる。

 ただ単に、苛めている子供から救ったために恩を感じたのか。

 釣り上げて食べなかったから恩を感じたのか。


 本当は、亀は宇宙船か着陸艇で、故障したか何らかの目的があって着陸したのか。そして、当時もその時代の人達が調達可能だった、水、銅や鉄、或いは全く別のものを手配してもらい、修理したとか、燃料を補給したとか…。


 いずれにせよ、登場人物をもっと増やしてみると面白い物語が出来るかもしれない。


 伝承というものは伝えられていくうちに登場人物が段々減るものだから、逆に増やしていったら、臨場感あふれる物語が出来るのではないだろうか。

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