八神くんと天咲さんの「死ぬまでの距離」

三上 真一

第1話 僕は神になる

明日は僕が死ぬ日だ。もう、こんな世界に用はない。


僕は死んで神に転生するのだ。それがわかる。死ぬ前にあの子に聞いたのだ。


君は神になれる星の下に生まれたのだと。


「よかった。これでこの世界に思い残すことはないよ。教えてくれてありがとう」


「・・・・・・・・・」


天咲さんは、僕を気味悪そうに見つめてきた。神である僕に。


「八神君・・・明日は学校来るよね?」


「・・こないよ・・・僕は死んで神になるんだ・・・」


「・・・・・・・・・・・」


じっと見つめる、彼女と僕。僕が死ぬことを、彼女は願っていないのか?


「八神君・・・あなたは・・・神になんかならないよ・・・」


天咲さんは、急に、そんなことを言い始めた。


「嘘だよ・・・・嘘だ!」


「嘘じゃないよ!八神君!きっと神にはならない・・・」


「神にならないなんて嘘だ・・・僕は・・・死んでしまいたいんだ・・・」


僕は、帰ろうとした。その手を、彼女がおもむろにつかんできた。


「神にならない・・・よ・・・八神君・・・でもね・・・私が・・」


「えっ・・」


帰ろうとした僕のからだが、天咲さんの方向へ傾く。


「私が・・・・あなたの天使になってあげる・・・だから・・死ななくていいの・・君は・・・天使である私の神に・・・今日からなったんだから・・・」


「!?」


『この女・・・どうかしてる・・・』


正気に戻った「神」である僕は、


『自称』職業天使である天咲さんと


奇妙な学園生活を、送ることになった。


つづく


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