転生した世界は和と洋が混ざり合ったよくわからない世界でした。

七条ミル

プロローグ

 目を覚ますと見慣れない和室に居た。どうも思い出せないが、相当古い家のようで、なんというか、江戸時代の家、といった雰囲気をかもし出している。

 よくわからないが、和室に煎餅布団、俺はその煎餅布団に寝ている。

 立ち上がると、俺は全裸だった。なんでだよ。

 とそこへタイミングよくかわいらしい和服を着た女の子が木の古めかしい横開きの扉を空けて入ってきた。俺のを見て赤面しながらも、手に持っていた男物の和服を俺に手渡してくる。どうやら、着ろ、ということらしい。ありがたくそれを受け取ると、女の子は扉をサッと閉じてしまった。

 とりあえず、手渡された和服を着る。

 着ながら、なんとなく思い出してきた。

 たしか、風呂場で転んだのである。親が

「お風呂空いたわよ~!」

なんて言って、俺は洗い場に足を踏み入れ、何故かヌルっとした感触が足の裏にあって、後ろ方向にすっ転ぶ。

 何故か置いてあった金属の箱に頭を強打して――


 これが俗に言う異世界転生とかいう奴だろうか。


 そうだよな、常識的に考えてあの勢いで金属の箱の角に頭をぶつけた人間が生きているわけがない。

 生きているわけがないが、そんなラノベみたいなこと、本当にあるんだろうか。結構みんな異世界へ行くけど。

 そこで丁度服を着終え、先ほど女の子があけた扉をこちらから開け、どうやら居間らしい広い部屋にでる。

 中央には囲炉裏、かなり古い板の床。右を見れば桐箪笥。その奥には開かれた障子、庭と蔵があって草原が広がっている。

 ――モロ江戸時代じゃねぇか。

 囲炉裏の奥を見れば土間があって、かまどと水道というかなんというか、そんなのがあって。

 土間にはそれなりにしっかりとした扉が備え付けられている。が、今はどうやら夏、扉は開け放たれている。正面、左右と三つの扉があって、正面には井戸が見える。飲み水にはなるのだろうか。

 さっきの女の子は右の障子の先、縁側にちょこんと腰掛けている。

 ふっと女の子は後ろ、つまり俺の方向を向いた。

「あ、着替えたんですね。」

女の子はそう言った。

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