物語の人事課

プロローグ

　人生の中で、本に触れない人などほとんどいないだろう。

　幼少期の絵本。

　学生の頃の児童書や小説、漫画。

　大人になったら読まなくなる人は多いが、それでも何かしらの影響は与えられているだろう。

　そんな本の中の登場人物。

　彼等だって、永遠に生きられるわけではない。

　歳をとるし、病気、結婚、出産などで働けなくなることもある。

　ブラック企業でないので、そういう時は対処をしなくてはならない。

　そんな時が、物語人事課の出番である。

　主な仕事は、人材の確保と育成。

　その中でも、現在人事課の責任者である1人の男のおかげで、格段に環境が整えられている。

　彼の信念はただ一つ。

『全ては読者の為に』

　今日も、よりよい物語を提供する事を目標に働く。

　実は本の中では私達の知らない間に、こんな風に変化をし続けている。