第5話
俺の名前は堂本 幸司。
今俺の家には、へんてこな居候が2人いる。
それはアニメの中のヒロイン2人だ。
容姿抜群のヒロインアリアと、チビで残念胸のサブヒロインのティアがいる。
こいつらは、アニメの中の性格とはどうやら違うようだ。
そんなことを考えていると、一つ疑問に思った。
性格が違うのは分かった。
だが、こいつらはアニメの中で魔法なんかをつかっていた。
ならば、この目で本物の魔法を見てみたいと思ったのだ。
手から火が出てきたり、雷がバリバリ走る姿が見てみたい。
そう思った俺は、家に帰るなりアリアに言った。
「アリア!たのむ。一回でいいから魔法を見せてくれ」
「ぷぷ。何言ってんの幸司」
笑われてしまった。
「普通の人間が魔法なんか使えるわけないじゃない」
おまえは普通の人間じゃないだろが。
「だってお前、時間を止めることが出来るんだろ。なら、火や雷くらい自由に使えてもおかしくないだろ」
「だって、出来ない者は出来ないよ」
「そうか。わかった」
お前は無能だと言う事がな。
それじゃ、ティアの奴に頼んでみるか。
ティアは、時間を止めようと今日も頑張っていた。
「ティアに頼みがあるんだけどな」
「なに?」
「ティアは魔法使えないのか」
「まほう?多分使えない。私ただの人間だから」
おまえもかよ。
「でも、アニメの中じゃ、バンバン使ってただろ」
「あれはただの演技で、魔法はイラストレーターさんが、後から付け加えただけ」
な、なんか、妙に生々しい発言だな。
「それはお前たちの思い込みと言う事もあるだろ。いっぺん試してみてくれよ」
「う~ん。まあ、試すくらいはいいか。でも、条件がある」
「なんだ、言ってみろ」
「寿司たべさせて。回るやつじゃないの」
おいおいおい。成功するか分からない魔法に、回らない寿司なんか賭けられるか。
では、こうするか。
「成功したら回らない寿司。成功しないときは回るすしでどうだ」
「「う~ん。成功しなかったときも回らない寿司というのは、ちょっとかわいそうかな。うん、それでいいよ」
こいつは、食べ物で釣るとなんでもやるな。
二人は庭へ出ると、早速魔法が使えるか試す。
「それじゃ、私がアニメの中でよく使ってた魔法でいこうかな。ライトニング!」
ティアは、人差し指を前方に向けた。
そんなティアを、ソファーに座りアリアは眺めている。
二人とも馬鹿だなあ。
この世に魔女がいないように、魔法もあるはずないのに。
あれはおとぎ話の話だって言うのに。
そんなことをアリアが思っているのを知らずに、ティアは何度も指をさす。
「いい加減諦めればいいのに」
アリアがそう呟いた時、大きな声で幸司が叫んだ。
「いま、ピリッて光った。ピリッて」
「ほ、ほんと?」
「ほんとほんと。この分なら、がんばれば魔法使えるかもな」
「よ~し、やる気出てきた~」
光ったようには見えなかったけど。
ほんとに光ったのかな?
アリアが思った通り、光ってなどいない。
幸司が見たものは、見たいと思う気持ちが見せた、幻覚だった。
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