幻鬼譚 1.
メビウスの輪を知っているだろうか。
簡単に言えば紙をつなげて作る八の字の形をした鎖だ。これがなかなか面白い仕掛けで、紙の面を鉛筆で辿っていけば同じ所に戻ってくるという特徴を持っている。
つまりは、同じ所をぐるぐる回って元いた地点に何度でも戻ってくるというものだ。天を自由に飛行していたつもりが仏の手の平で踊っていたかの天竺を目指した猿の物語のように、前に進んでいると自分では思っていても同じ所で惑っているだけだった。
単純なくせにやけに示唆に富んだ教訓に満ちた工作であるなと俺は思うわけだ。そんなことを思うのは俺だけかもしれんが。
さて、このような話を思い出したのは一重に俺のとある失敗談のためだ。
失敗談。最強として名を馳せる俺だが最強とはイコール完全無欠ということではない。むしろ弱点、欠陥だらけの存在が俺だ。そう、欠陥に欠落。
これは普段偉そうな口をききながら自分の欠落から目を逸らしていた俺の手落ちから起きたことなのだ。
これから語るのは最強の怪物、鬼である俺こと
鬼が主役の地獄巡りの物語である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます