第19話 決戦の日
対峙は年末まで続いた。師走の風は両陣営の兵士たちに、いやでも厭戦ムードを掻き立てる。
そう、年末年始はどこの家庭でも忙しいのだ。大掃除をしたり年賀状を書いたりお正月の準備をしたり。年が明ければ明けたで、初詣にお年始に新年会と。
兵士たちはそれぞれに望郷の念を抱いていた。
「隊長、どうするのですか? このまま対峙をしていても埒が明きませんが」
しびれを切らした文豪軍曹は、私小連隊長にそう問いただす。
「今は時期が悪い。これから雪の季節に突入するので我軍から動くのは危険だ」
隊長のいうことにも一理ある。おそらく敵軍も同じような気持ちで対峙しているのだろう。
「しかし『ノベル0 Ⅱ』の効力は二月中頃までしか持ちませんよ」
軍曹が更に詰め寄る。
今でこそ互角の兵力を保っているが、新防御システムの効力が無くなってしまうとまた十倍以上の敵を相手にしなければならないからだ。
「わかっているよ。その頃には雪も溶けているだろう。二月の『ノベル0 Ⅱ』の効力の切れる直前が決戦の日だ」
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