軌道砲兵ガンフリント

作者さま:冴吹稔

キーワード:SF ロボット ロボット 外宇宙生命体 シリアス ミリタリー サイボーグ少女 挿絵あり


あらすじ

少し未来。外惑星にまで活動領域を広げた人類は、未知の敵性体との交戦に突入してしまっていた。熱き戦いと人間ドラマの実弾スペースオペラ。


感想

アニメのようなビーム兵器は出てこず、硬派な雰囲気。やっぱ実弾は良いですなぁ。ロボットの描写なども丁寧。

宇宙空間での物理学などもしっかり考慮された本格派で驚かされます。なんちゃってSFではなく、古き良きハードSFの系譜。


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 そこで、クルベたちは現在の軌道の接線方向に対し、外向きの角度をつけて撃つ。モジュールの公転速度と弾体の速度は合成され、そのベクトルは太陽を背にして外周へ向かう。この砲撃に必要なデータは母艦とモジュールをリンクする砲兵管制システムによって精密に算定される。


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 六百ミリの外殻を破壊しない程度の威力――五十ミリ徹甲榴弾は、ちょうどおあつらえ向きだった。それでもコンテナにはわずかに、ほんのわずかに軌道のずれが生じる。その差を、ヴィクトリクス号のレーザーセンサーは鋭敏に検出していた。


〈計測完了。軌道変動値0.003%、事前の推定値に合致――クルベ中尉、そいつは『砲弾』です〉


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ベクトルの足し算、速度の合計、公転周期、質量の差による検出、大気による抵抗……こういった言葉にワクワクする人は読んで損しませんよ!

ちゃんと科学的な問題と解決法が出てくるSFというのは貴重です。

また、なろう版には作者「冴吹稔」による挿絵があるのもすごい。漫画家のアシスタントをしていた経験があるそうで、かなり上手いです。兵器がかっこいい!

ストーリー中でも、それぞれの位置関係や問題点などが要所で図解されていて分かりやすい! 

ぶっちゃけ、ここまで本格的で細かい描写になってくると文章だけだと理解しにくい部分もあるので……超親切! というわけでカクヨムより、なろうで読むほうがおすすめ。


設定だけでなくストーリーも高品質。私はepisode-2でうなりました。このレベルの人間ドラマが書かれていると、この先の展開にも期待が上がっちゃいます。

episode-3もいいですね~、人間関係の丁寧な描写。そして宇宙艦隊を1か月以上も動員する作戦が、ただ1人の少女を見つけ出し保護するだけ(ただし超難易度)というロマン!

とても本格的であり、まさに力作と呼ぶにふさわしい。作者さまの熱意を感じる物語です。

なお作者である「冴吹稔」さまは、クリエイター支援サービスであるpixivFANBOXも利用されている様子。作品が気に入った方は、ぜひこちらも訪ねてみてください。


状態:連載

文字数:164,067文字


作品URL

小説家になろう(絵あり) https://ncode.syosetu.com/n4102do/

カクヨム(絵なし) https://kakuyomu.jp/works/1177354054883266584

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