鋼刃武装メタリオン第二話 ヒーロー自宅で死す

メタリオン前回の三つの出来事


一つ 我が家で泉と鋼はテレビを見ていた


二つ 有名税にうんざりし異世界に行きたいと冗談を言う


三つ 自称神に

「私は田中 一【たなか はじめ】と申します。神をしていますが…すみませんが、貴方には別の世界でヒーローをしてもらいます」

と、言われて鋼逹は自分達の死体を見つける


えっと…現実逃避をしてても仕方がないな…



とりあえず状況を理解するために、田中さんを見るスーツ姿でどこにでもいそうな顔のサラリーマンに見える。


続けて俺の相棒である泉さんを眺める。


泉さんは状況を理解できないとばかりに、魂が抜けたように足元を見ていた


足元には左肩から心臓部分に掛けてまるで、消しゴムで消したように綺麗にくり貫かれた女性の死体。


ギリギリ脇腹辺りの皮膚で腕と胴体は繋がってるが、どう見ても泉さんの死体である


さてと、次は見たくないが俺の足元に転がっている男の死体を見る。

身長は1m90cmと、女の子に間違えられる俺よりもかなり高い。良し、俺は死んでないよな…


と、またもや現実逃避をするが、無駄だから止めよう。


メタリオンに変身すると身長が伸びるし体格も男らしくなるからな


ほら、死体は銀色の鎧を纏ったメタリオンで、全身を痛め付けられたらしく、装甲が破損し内部パーツが露出し赤い電流のような光が溢れている。


そして、顔の銀色のマスクも割れていて、中には俺の顔が……うん!俺の死体だ。


そして、次に田中さんを見る自称神様だが、魂と思われる俺達と会話してるし、多分本物だろう


「おやおや、もしかしてお二人とも死んだショックで、記憶が無くなっていますかね?」

「あぁ…やっぱり私達は死んでるのね」

泉さんは自分が死んだという事を飲み込んだらしく力の無い声ながらも田中さんを見つめている。


まぁ、俺も死んだと言うのは飲み込んだが…それよりも幾つか気になる事がある…田中さんの異世界でヒーローも気になるが、それよりも…


「えっと、田中さんだったけ…どうして…俺は…メタリオンとして死んでるんだ?」


そう、気になるのは、これだ…

生身で死んでるのなら…まだ納得して死ねる…

でも、人間以上の力を持つ化け物を倒せるメタリオンがここまでボロボロにされているのだ…


それはメタリオン以上の敵が現れたからでは、無いのか?

もしも、そうなら世界はどうなるのか?

異世界に何て行けないし、

死んでもいられない


「簡単ですよ。マジナスが、現れたから…いえ、マジナスが、信仰する邪神マジナリアムが貴方逹を殺したからです。」 

邪神マジナリアムの言葉に俺の消えていた記憶は一瞬で甦る


~~~~

「ワガナハ…邪神マジナリアム。ワガハドウノジャマスルモノタチヲケシニキタ」

テレビを見ながら寛いでいた俺達の前に、まるで特撮のように、一瞬で現れたそれは、全身の影よりも黒く感じ様々な動物を、手で千切り組み合わせたようなグロテスクな物だった


俺は、頭で考えるよりも早くソイツから感じる恐怖その物のような気配に、思わず反応し変身。


「泉さん…逃げて…」

泉さんに声を掛けると、同時に殴りかかるが、相手は微動だにしてないはずなのに、触れる事も出来ずに全身に衝撃が走った


「キサマラハ、テキニモナラナイ…ガ…ソレデモ…メタリ…」

ソコで俺の意識は途切れる。

~~~~

「泉さん…守れずに…スマナイ…」

多分死体が有ると言う事は、泉さんもこの後すぐに殺されたのだろう


あの日姉さんである鈴音【すずね】と、母さんを殺された日に誰も俺の目の前で殺させないと心に誓ったのに…守れなかった


多分俺は酷い顔をしてると思う。誓いを守れなかった悔しさと、大切に思っていた泉さんを死なせてしまった悲しさから、目から涙が止まらないから…


「気にしないで…私こそ何も貴方をサポート出来なかった…」

その言葉に泉さんを見ると泉さんも同じように泣いていた。二人とも暫く泣き続けたが、涙が止まると今まで待ってくれてたのか田中さんが口を開く


「どうやら思い出したようだね?奴はマジナリアム。異世界に封印されている邪神だ」

とりあえず死んでしまったのは、仕方がない。

それよりも、俺は深く深呼吸し聞かなければ行けない事を訪ねる


「この世界は…どうなるんだ?」

そう、どうせ死んでるんだ!

殺された理由なんて関係ない!

それよりも、メタリオンが無くなったこの世界がどうなるかが重要だ‼‼


「暫くは昨日までと一緒の日常が続くさ。何故なら奴は異世界に封印されており、溜めていた力を使い。

君達を殺したからね」

田中さんの言葉を理解するために深く深呼吸する。

横では泉さんも、落ち着くために目を閉じて声だけを聞いていた


「奴は力が溜まるまでこの世界には手を出せない。それと、聞かれなかったが、奴の目標は自分を殺せる可能性があるメタリオンを破壊しに来たのさ」

「殺せる可能性…でも、アッサリと倒されたのに?…もしかして……私達が知らないだけでメタリオンは、まだ強くなれる?」

泉さんがブツブツ独り言を呟きながら考えてるので邪魔をしないように、声を小さくし俺は訪ねる


「暫くはって事は、時間が立てばこの世界は、アイツにメチャクチャにされるのか?」

静かに田中さんは頷く。

その目には嘘等なかった。


「だから、ワタシは君達をスカウトしに来た…異世界に行き。メタリオンを鍛え上げ封印された邪神を倒して欲しい」

田中さんはアッサリと無茶難題を放り込むが、答えなんて一つしか無い。

泉さんもそうだったのか、俺と同じタイミングで頷く


「ありがとう。では、まずは、お二人を異世界にご案内」

実に気楽な声と共に目の前が黒く染まった


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