106 灰のアルカンシエル 穂波じん様

 事が起きるのは、いつだって突然だ。


 昨日は上司が他の事業所へ出かけているので、普段はやりづらい印刷が大量に必要な仕事をしようとうっきうきでした。午前中にやりたいことができると、なかなかモチベーションが高く仕事をすることができていました。


 ちなみに、昨日のここらへんの地域は午前中大雨でした。


 排水設備の許容量を超える激しい豪雨。


 傘をさしていたにも関わらず、Nさんはびしょぬれになって出勤してくるくらい、昨日はやばかったです。


 で、浸水の被害が予測されたので、とりあえず玄関に治水版を設置した。


 ふうこれで一安心だ。


 と思ったら。


 なんか倉庫から水が溢れていた。


 内部浸水だ……


 排水溝の処理能力を超えるだけの雨水が押し寄せて、逆流してきたのだ。


 とりあえず各階に利用者さんを避難させて、各階に職員を一人ずつ置くことで支援体制は確保。


 とりあえず、電子機器や濡れると困る物を机の上に上げる。


 ふうっと思った時に、トイレに行きたくなってきた。


 するとSくんの声が。


「トイレも逆流しています。今は使えません」


 遠藤は尿意を我慢した。


 そこではたと気づく。


 Sくんがトイレを使えないと知っているということは、最後に利用していたということじゃないだろうか?


「Sくん、もしかして使ってたの?」


「はい。なのでいま逆流しているものには混ざっています」


「いやああああああああああああああ」


 午前中は、Sくんの下の世話にみんなで費やしました。


 ちなみにSSさんもいらん情報を流し出す。


「そういえばあちらのトイレではTさんも入ってましたね。SくんフューチャリングTさんですね!」


「なんでこのタイミングで言うんだよ!」


 というか、浸水被害があっても冷静かつ笑いながら対処できる皆さんのおかげで、上司が帰ってくるころにはすべての処理が終わっていました。


 普通にここの職員すげえ。


 体力的にもうボロボロ。遠藤です。







 灰のアルカンシエル 穂波じん様


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054895128039


 彩り豊かだった地球の姿は、奴らによって変えられた。


 色食いろばみと呼ばれる色を食う怪物たちに、よって、色彩は徐々に無為へと帰る。


 世界は灰色に支配された。


 そんな中、色を取り戻すために立ち上がった希望のヒーロー、アルカンシエルが怪人に戦いを挑むが、最後の戦いで敗れてしまう。


 しかし、希望は潰えない。


 色が消えた世界の中でも、希望の光は輝いている。


 逆境に立ち向かうヒーローたちの物語。








 逆境に立ち向かうヒーロー。王道でいいじゃないですか。


 ただ単に敵を倒していくといったものよりも、希望を背負ったヒーロー、逆境に立ち向かっていくといったすんなりといかない要素があるといいですね。


 で、先代のアルカンシエルは破れてしまうわけですが、怪人たちに抵抗する勢力、レジスタンスのリーダーであるアキラがその能力を受け継ぐというところがストーリーの流れ。


 ストーリーの流れとしては本当に王道に沿っていて、特に不満があるわけではないと思う。順当に進んでいく。


 徐々に敵の格が上がっていったり、きちんと敵にも能力や個性があって一筋縄ではいかないところも、よく考えられていると思う。


 色の力を取り返していくにつれて、倒した相手の能力を引き継いでいく設定も、たまに見るけど良いのではないだろうか。


 ロックマンを思い出すけれど、けっこう好きだったなロックマン。Xシリーズも7までやったし。


 主人公も熱血漢って感じで、ヒーロー者の主人公としてしっくりくる。


 きちんと考えられてる理想のヒーローものといった基礎の部分はきちんとできている物語だと感じる。






 勧善懲悪というよりは、作者様の哲学が色濃くでている。


 色食たちの目的についても、まあまあ納得はできる。


 生物学的に考えてしまわなければ。


 世界を保つために不適切な進化を辿ったことで、人間界に進出してきたようであれば、いずれは淘汰されて滅んでしまうんじゃないかなーとかひねくれたことを考えたけど、そうかもし人間たちに勝って次の段階に行ったとしても、いずれは滅びるのかもしれないと今思った。それなら納得。


 まあともかく、生存競争といった印象。


 能力に関する考察だったり、存在理由だったりと哲学的な話もでてくる。世界観はよく考えられている。


 けれども、本質はかっこいいヒーローがピンチになっても機転を利かせて敵を打倒すといったものだ。


 きちんとピンチになることで、ハラハラさせる要素も充実されているし、敵キャラに対する思い入れも感じる。


 作者様が好きなように書いているという通り、好きがいっぱいに詰まった物語だと思う。






 書きたいことを書きたいように書いているとても健全なお話だと思う。


 読者としては文章の構成が少し惜しい気もする。


 アクションシーンに向かないタイプの書き方をされているように思える。


 アクションじゃないけど、スカイクロラシリーズを今更ながら読んでいると、アクションに関する描写の簡素さに驚かされる。


 反転。

 右へロール。

 フル・スロットル。


 これはあまりにも極端だが、スピード感を表わすためにあえて簡素な書き方をしているのだと思う。


 何が言いたいかというと、つまりこの物語はその逆なのだ。


 アクションは苦手だからどの程度の描写が必要なのかどうかはよくわかんないけれど、文章量が増えれば増えるほど情報量が多くなっていいというわけではないと思う。


 簡素で書ききるような表現の方が、物語の鋭さを感じる。


 これは個人の感覚だけども。


 一文の間に複数の動詞や形容詞は、出来る限り避けた方がいいような気がする。


 とはいえ、エネルギーを色に例えている世界観はなかなか独創的だと思う。


 色をテーマにした物語という意味ではなく、ヒーローものに混ぜたって意味で。


 ただ非常に難しいところが、その独創的な組み合わせを、独創的だとは感じた。


 けど、それだけだったことが非常におしい。


 最近よく悩む。


 なにがおもしろいんだろうって。


 そんなことがわかれば、まあすぐ作品に反映させると思うからなんとも言えないんですけど。


 展開とか必然性は思いつくんだけど、それが果たしておもしろいのかって思った時、すげえ筆が止まるね。


 おもしろさについてのテーマは今掘り下げるのは違う気がする。


 ただ、おもしろいと感じる意外性に辿り着いていなかったというところが惜しい。


 順当で真っ当でよく考えられていて面白い組み合わせであった。


 ヒーローが苦難に立ち向かう姿を目の当たりにしたいと思った時、きっとこの物語を読めばいいと思う。






 約768万1千






 午前中を浸水処理で終えた後、体力的にはけっこう疲れ切っていました。


 しかし、午後にもまだ仕事があった。


 正直仕事にもある程度のペースとか配分とかがある。別に頑張る日と頑張らない日があってもいいと思っている。


 午前中頑張ったから、午後は別にゆったりでもいいや。


 というわけにはいかなかった。


 だって午後には、


 絶対に出席をしなければいけない会議があったのだから……。









 僕が疲れたのは肉体だけだと思いましたか?


 ばかめ精神的にも疲労困憊でしたー!←誰に向けているんだ


 肉体と精神の両方をバランスよく疲弊しきった。


 そんな一日。

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