23話 寝不足です
あの夜以来、僕は常に悩まされている。
この酷い眠気に……。
「くあぁ~」
「クアァ~」
何で君まで
あれから僕は夢を見る、お母さんに拒絶される夢と父さんに殺されるまでの前世の夢を、何度も何度も繰り返し見る様になった。
今まで気にしない様にしていた、心の何処かで受け入れてもらえると楽観視していたけど自分の子供がもし、自分と同じ
気付いたら不安になって最近はお母さんや皆に対してぎこちなくなってる。
ええい、気にしたら負けだ。
隠し通せば良いだけの話だ、気持ちを切り替えろ。
自分の頬を叩いて気合を入れる。
「よし、今日も一日頑張るぞ!」
「クエ!」
アストルフォも気合を入れたみたいだ、さて今日は表の清掃だ。
そう言えば三歳になってから気づき始めた事だけど前よりも色々な事がはっきりと分かる様になった、前よりも思考がはっきりとしているし今まで特に疑問に思っていなかったけど季節の変化や曜日や時間の感覚、今までは暑いとか寒いとかしか思えっていなかったことをより強くはっきりと意識する様になった。
だけどソルフィア王国で使われている暦が地球と同じ太陽暦で助かったよ、おかげで一から覚え直さなくて済んでる、ボクの誕生日は4月23日でお母さんが8月14日、そして今は5月で西部は梅雨である。
だからここ最近、毎日の様に雨が降っていて風も強いから店先はご覧の惨状だ。
レンガで舗装されていても風で飛ばされた葉っぱや大小のゴミ、それと馬車が通る事で泥も追加されて地面は汚れに汚れていて、窓ガラスにも撥ねた泥水が掛かって汚れてしまっている。
まずは葉っぱを箒で集めて捨てる、次に窓を拭いて綺麗にする。
地面の泥とかは水属性の魔法が使える人に頼んで溝に流してもらって突風で倒れた植木は取り合えず起こして、業者の人が来るまで放置だ。
「さあ、アストルフォ、まずは落ち葉を片付けよう」
「クエ」
僕が箒で落ち葉を集める、アストルフォには塵取りを持ってもらって集めたら塵取りに入れるの繰り返し、量はあったけど10分もしない内に集め終わる。
次は窓拭きだ、お店から脚立と雑巾を取って来る。
雑巾は三枚、僕とアストルフォとアストルフォの足を拭く分だ。
まずはアストルフォの足を拭いて次に僕が脚立に乗ってから、アストルフォを肩車して、僕の背では届かない場所を拭いてもらう。
見事な連携でこれも早々に終わらせた。
「おはよう、マリアちゃん。それにアストルフォちゃんも」
後ろを振り返ると
お店の常連で何度もお母さんにプロポーズをしては玉砕している、現在の記録は12回だ。
「おはようございま――あ!ごめんアストルフォ」
「グエ!グエ!」
挨拶をする為に振り向いたらアストルフォがバランスを崩しかけて僕の頭に捕まる、痛い痛い痛い、前足の
「相変わらず仲が良いね」
「クエ!」
アストルフォも
怪我しない程度に力加減はしてくれているけど、幼女の頭部にはとても痛い。
「そろそろ農家以外の人も動き始めるから、二人だけで表には出ない様にね」
「はい分かりました」「クエ」
僕とアストルフォの返事を聞くと爽やかな笑顔を浮かべながら
この前、自習をしている時に教科書に書かれている事を見るまで意識もしていなかった。
教科書に書かれている事から判断すると日本で言う所の警察官と殆ど同じ組織だけど少し違う所がある様だ。
組織は主に三つに分かれていて
ただ教科書に書かれていること以外は知らないから僕の知っている事もこれだけらから、日本の警察と違う所はまだまだ沢山あると思う。
「クエ、クエ」
忘れてた、掃除の続きだ。
水魔法が使えるリーリエさんはまだ中で備品と食材の確認をして他の水魔法が使える人は今、ギルガメッシュ商会に荷物の受け取りに行っている、だから倒れた植木を元の位置に戻して、割れてしまっているのは植木屋さんに治してもらうから適当な鉢に土と一緒に入れて、で土は一か所に纏めてと……よし、終わりだ。
外でする一通り終わったから次は中の清掃、その前にアストルフォの足を綺麗にしてと…よし、さあ中の掃除だ。
何時もの様に雑巾がけだ、今日こそアストルフォに勝つ。
それにこれでもかと言う程、体を動かしたら考えたくない事を考えなくてすむ。
でも何時の日かちゃんとお母さんに伝えよう、受け入れてもらえる様に頑張ろう。
僕は何も悪い事もギリウスの様な事をする気はないって信じてもらえる様に……。
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