第9話 修学旅行 その4 [妙な展開]

久美子達が修学旅行の話し合いに夢中になっている中、長崎のとある倉庫で、謎の会議が行われていた。そこにいるのは三人の男。そして、そこに[ある]のは拳銃とナイフ。どうやら、会社や学校の生徒会がするような普通の会議ではなさそうだ。普通ならば、そのような武器なんて使わない。イギリスの討論では、騎士たちが剣を抜いて戦わないようにソードラインと呼ばれる線を引いていると言うが、長崎は日本だ。そんなことがあることはない。

「最終確認をするぞ。」

ふいに一人の男が口を開いた。静かなる口調。落ち着いた口調。

「我々は、この場所を襲う。」

その男は地図を取りだし、とある場所を指差した。指が指された場所は、その運命の場所はッ、[NAMATAMAGOジム]であった。

「いやっふーッ!ジムの強盗なんて新鮮だぜ!俺が聞いたことがあるのは空き巣か銀行強盗だけなんだよなぁ!」

もう一人の男が楽しげに喋る。無邪気、この表現が正しいであろう。普通の成人男性がこのテンションで喋っているとするなら、「いい歳こいて何してんだか」と冷やかに言われるものだが、こんな場所でのこのテンションに対してのみ、恐怖心を感じる。

「やかましいぞ。タビー。」

三人目の男が口を開いた。どうやら無邪気な男はタビーと呼ばれているらしい。

「いいじゃねぇか!シイゴ!それと、ようやく俺のコードネームを覚えてくれたみてーだな!これからは俺の名前をコードネームで呼ぶクセつけろよ!俺だってお前らのことをコードネームで呼ぶのめんどくせぇんだぜ!?」

「シイゴ、タビー、落ち着け。」

「悪いな、クリュウ。」

ようやく三人の名前が判別できた。最初に喋ったリーダー格な男がクリュウ。無邪気に騒いだのがタビー。タビーを落ち着かせようとしたのがシイゴ。会話から察するにこれは全てコードネームであり、本名ではなさそうだ。

「我々の目的は金ではない。」

シイゴはこう言った。

「金いらねーのかよ!金がありゃ最高だぜ!?フカフカベッドのホテルに泊まり放題だし、飲みたい分の酒をいくらでも買えるんだぜ!?」

「タビー、クリュウの顔を見ろよ。[そんなもん興味ないね]って顔だぜ?他にいい目的があるんだぜきっと。」

「その通りだシイゴ。我々は金を貰うために襲うのではない。我々の目的は、長崎のありとあらゆる所を支配下に置くことだ。恐怖で長崎を支配する。そのためなら女や子供でも、警察でも、ためらいなく撃ってころすさ。」

「ひぇー!冷酷だねぇ!クリュウ!長崎なんか支配下に置いてどうすんのさ!」

「俺は長崎の今が嫌いなんだよ。ボケボケしやがる。恐怖のある日常に変えてボケボケした奴らの脳をチェンジしてやるのさ。」

「口調が荒いぞクリュウ。もうちょっとクールにできねぇのか。」

「悪かったなシイゴ。」

彼らは何事もないかのように何事もある会話をする。

「ジムの関係者を捕らえ、我々の命令にそむくと殺すように伝える。もちろん警察が来るだろう。そんな警察は撃て。野次馬どももだ。そして、ジムの関係者どもに常に見張ってると伝え、我々は去る。そして定期的にジムに行けばいい。警察も後に金で買収すればいい。そうすると我々が頂点になるッ。金なら1億程度用意できる。」

こんな計画を淡々と話す彼ら。次にクリュウは、彼女らと運命を交えることになるであろう発言をするッ!

「決行日は、10月13日だ。」


続く


参考 Wikipedia

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る