蜂ロボ、または長い告白

葉山

¶1

 世界中からミツバチが居なくなった。理由は分からない。だけどそのお陰で俺たちはチャンスを得た。

 俺のダチで一番人嫌いな奴、それがバッキーだ。確かバッキーは大学の食堂で、「蜂の補填プラン」なるものを話した。俺は昼食をおごってもらう為だけにバッキーの話を聞いた。バッキーの話はそれがどんなに(主に資金面で)不可能だとしても、プレゼンテーションを楽しむ価値があった。バッキーは蜂の形をしたとても小さなドローン(文字通り”オスバチか?”)を作りたがっていた。

 「養蜂のスゴ技でも思いついたのかと」

 「刺されたくない。なあ、アランはこのプランどう思う?」

 話の終わりはいつもそんなセリフで、俺は、

 「悪くない。コイツは必要になるだろう。ただし、このド派手ピンクなモックアップが、ひとりでブーンと飛べばの話だけどさ」

 と答えた。俺には模型にしか見えなかった。するとバッキーはすっ飛ばして結論を述べた。

 「僕んち建て替えたいな」

 蜂ロボはバッキーの指先から飛び立って俺の目の前でホバリングした。俺はコーラを吹いたのを覚えている。それと蜂ロボのモノアイも。

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