おまけ9 私が生きていきたいと思った理由(わけ)

 言葉にしてしまえば、ものすごく陳腐な台詞になってしまいますが。

 

 

 

 でしょうか。


 正確にいうと、兄の子供、姪の小豆あずきちゃん(仮名です。もちろん)の存在です。


 週4か週5で面倒見て、と言われたときは正直呆気にとられたし絶対無理だって思いました(実際、無理でしたね)


 初対面は散々でした。ぎゃん泣き。布団で寝ない。抱っこしてもジタバタジタバタ。(しかも小豆ちゃんは発熱していた。コロナの頃ではないとはいえ、それを精神障碍者である私に任せるとは、なんという無茶苦茶な兄と義姉だろうと本当にあきれ果てましたな)


 まあ、言ってしまえば、一歳児ですからね。しゃあない。


 でも、私が人肌に温めておいたミルク(紙パックのやつね。今はそういうのあるから便利ですよね)を哺乳瓶であげたら一生懸命飲んでくれてね。

 そして、私をまん丸い瞳で見上げて、『だあれ?』『このひとはどういう人なのかなあ?』ってその目が語っていましてね。


 なんだか泣きそうな、切ない気持ちになったんです。


 だんだん慣れていって私はベビーカーも扱えるようになって(車椅子押した経験があって良かったなーと思いました。操作感が似ている)保育園の送り迎えしたりして。


 私のおっぱいを欲しがったり、おもちゃで一緒にあそんだり、大きな栗の木の下で歌って踊って(you〇ubeで見て覚えました)あげたら泣き止んですうすう寝たり。


 こんなに人間に全幅の信頼を預けられたことなかったなあ。って思ったら。


 涙がぽろぽろ溢れてたんです。


 ……このか弱い命は一個だけなんだ。代わりはないんだ。絶対ないんだなあって思ったら。


 切ない。辛い。なるべく、怖い目に遭いませんように。不幸なことがありませんようにって。


 自然にそう願っている自分が居ました。


 守りたいなあって。自然に思えて。


 私が居なくなったら困る存在が、楔が一個増えただけなんですけど、赤ちゃんって本当すごい。光だなーって思いました。


 私は結婚したこともないし、子供もいない。それがコンプレックスだったから、小豆の存在にのめり込み過ぎている自覚はあります。


 今は、だから、敢えて距離をとっています。


 兄にはもう一人、子供がいるんですが、今は事情があって遠く離れたところにいます。


 その子はすごく難しい子で、多分発達障害? なのかな。小豆はその子とは全然違って社交性があって人気者なんですが。


 小豆の面倒を見るうちに、その、兄のもう一人の子供も気にかかるようになりました。一人が好きで、集団行動が出来なくて、協調性がなくて、人の顔や名前をなかなか覚えられない、『難しい子である』もう一人の子供。


 うちの両親もいざとなったらその子を引き取ろう。(どうやらかつての義姉は男と遊びまわっているらしく、元義理の……ようするに兄の子供から言えば、母方の祖母と祖父にあたる家に預けっぱなしみたいなんですよね)と、いう覚悟は静かに固めています。


 かつての義姉は私と少し似たところがあって、自分にとって重荷になるものを投げちゃう、というか背負えないところがあるんです。逃げ体質、というのかな。悪く言えば、母性本能より女であることを選ぶタイプというか。


 小豆の面倒をみることで、その難しいもう一人の子供を私が観る、という覚悟も静かに固まっていきました。


 保育の勉強、というか朗読の勉強や、あと、シンセサイザーを買って、ピアノの勉強を自己流ですがしています。


 「さくら さくら」と「大きな栗の木の下で」と「アンパンマンマーチ」は楽譜を見れば弾けるようになりました。


 ……これで完結させようかなーと思っていたんですが、やっぱり続けることにします。


 昨日コメント下さった方がいて、そのコメントを読んでいて、


 『ああ、死にたいって 思う人は 沢山いる。 私の文章を読んで、納得できなくても、共感できなくても、少なくとも読んで、かみ砕いて、何かを考えて下さるのなら、それは良き事だろう』


 と、思ったのと。


 『この文章群を書くことは私にとってのライフワーク……生涯の仕事なのかもしれない』


 という感覚を持ったからです。


 私が有名な小説家になれるかどうかはわかりません。無名で終わるかもしれないし、もしかしたら大化けするかもしれない。


 でも、どんなに忙しくてもこの『死なない理由』は、書き続けないと駄目だな、って思いました。


 他でもない、自分自身のために。


 続きます

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