おまけ1 家族には伝えてあります。私が自殺したら、それは病死だと。

 自殺で大切な方を亡くされた方へ。もしくは大切な方に自殺を図られた方へ。


 どうかご自身を責めないで下さい。


 自殺を図るほどに追い詰められた心理状態。その状態は「正常」な状態ではまず、ありえません。

 精神科や神経科、心療内科にかかればまず間違いなく病名がつく状態です。


 そして、あなたの大切な方が、病気になったのは、あなたのせいではありません。


 例えば、癌家系に生まれた人は癌になりやすい。これは必然ですね。

 でも、だからといって、癌になった人が母親に「お前の遺伝子(DNA)のせいで癌になった」と責めるのはお門違いもいいところですよね。


 それと一緒です。


 私は統合失調症です。実は私の家系には自殺者が3人います。同病の人も私が知る限り3人。要するに精神病家系なわけですね。(父方にも母方にもいます。ある意味では、私は精神病界のサラブレッドですね。自慢にもなんにもなりませんが)


 だからといって、私は両親を責めません。だって、肌の色や目の色と一緒で、母だって父だって遺伝子(DNA)を選べる立場じゃなかったわけですからね。


 ちなみにですが、両親は幸運なことに健常者です(今のところ)でも因子は持っているわけです。まあ、なりやすい体質なんだ。そのくらいのことですね。


 あなたの大切な人は不幸にも病気になってしまいました。

 それは、純然たる『現実』です。それを動かすことは不可能です。


 でも、治すことを、諦めることはありません。


 さて、横道にそれた話をもとに戻します。なんで自殺が病死なのかという理由ですね。


 具体例を挙げましょう。


 私と同病の人は、

「空を飛べる」と思い込んで、屋上から飛び降りて死にました。

 それって自殺でしょうか? いいえ、彼は死にたかったわけではありません。

 ただ、空が飛べると確信していただけ。そういう病だっただけです。

 つまり彼は自殺ではなく、統合失調症という、病気に殺されたのです。

(私自身、車に当たらない能力を手に入れたと思い込み、車に突っ込んでいったことがあります。無傷だったのは運がよかっただけですね)


 そして、精神病は実は脳の疾患なので、投薬等で、治す(正確に言うと寛解という表現が適当ですが)ことが可能なんです。


 心の病でしょう? 気の持ちようでしょう? と、思った人もいるかもしれません。

 実は精神病のほとんどは心の病気ではありません。

 どちらかというと身体の病気。脳の病気です。


 うつ病になると、舌の感覚が鈍って、味がわからなくなる、という症状が出る人がいます。

 自律神経失調症は、眩暈や立ち眩み、吐き気などが起こります。

 統合失調症は現実にはあり得ないことを現実だと思い込みます。


 これらは、病気が起こしていることです。心のありよう持ちようでどうにかなる問題ではありません。


 そして、こういった、心のありよう持ちようでどうにもならないものの原因は、脳の器質的な問題であることがわかってきています。

 脳のホルモンバランスを整える新薬が、どんどん開発されています。

(数年前まで新薬だった、そして高額な部類にあった私に合う薬、エビリファイはついに先日ジェネリックが出ました。会計が半分以下になって驚きました)


 だから、精神病は身体の病気。脳の病気だと書きました。


 たとえ、あなたがどんなに最善を尽くしても、(例えばタイムマシンに乗って、病気になった大切な方に何をしてあげようと)

 癌と同じく、その方が自殺を意図してしまうような病気になることは避けられなかったんです。


 だから、あなたはご自身を責めることはないんです。


 冒頭にも書きましたが大切なことだからもう一度言います


 あなたの大切な方が、病気になったのは、あなたのせいではないんです。


 少なくとも、私はそう考えているし、家族にもそう伝えてあります。


「私が、もしも自殺したら、病気に殺されたと思ってね。そして、自分を責めないでね。お母さんやお父さんのせいじゃないから」


 もちろんこの心境にいたるまでは紆余曲折あり、自分なりに苦しみましたし、「なんでこんなに精神病の人が多い家系なのに生む決断をしたんだ」と理詰めで母に迫り、苦しめた過去もあります。


 でも、今は毎年自分の誕生日には私は両親に言うようにしています。

「お母さん、私を生んでくれてありがとう。

 お父さん、お母さんと結ばれてくれてありがとう」


 と。


 続きます


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