21-②:未来をつかめ
「…案外、楽勝に終わりそうだな…」
その上空の様子を、地上から見ていたロイがつぶやく。
「いいえ、まだまだ油断はできません。リアンが止めを差すまで、気を引き締めていてください…とは言いつつも、おそらく簡単に終わるでしょうね。ですが、後の問題は…」
ノルンが、リアンを見る。リアンは緊張した面持ちになる。
「こんなことを言ってプレッシャーを掛けたくはないのですが、後の命運はすべてあなたにかかっています」
『わかってるよ…絶対に取り込まれたりなんかするもんか』
リアンはぐっと拳を握りながら言う。
王妃を倒すには、本体である石を破壊する必要がある。しかし、もしかしたら、マンジュリカのように、砂になっても王妃の精神は残る可能性があった。だから、リアンが王妃の本体と一体化し、王妃の精神をリアンが完全に消す必要があった。
ただ、その方法では、リアンの精神が王妃に破れ、取り込まれてしまう可能性もあった。そうなったら、もう誰も王妃を止められる者はいなくなる。
『…もうこれ以上、不幸なんて沢山だ』
リアンは、自身の片割れを見つめながら言う。
『みんなで、幸せな未来をつかむんだ』
思いの込められたリアンの言葉に、ロイとノルンは力強く頷いた。
―ちりん
ノルンの耳元のピアスが音を立てる。それを合図にノルンは腰から、テスから渡されていた銃を抜く。そして、小さな魔方陣を目の前に展開し、それに銃口を向けた。
―これで、終わりですね。ただ、もし万一があれば、
しかし、主の敵であるあいつに、自身のミスを埋められるとなると癪に障る。何が何でも自身のこの攻撃で終えて見せると、ノルンは乾いた唇を舐めて湿らせた。
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