第16章:再演
16-①:ある日の出来事
前編のあのシーンの、別視点となります。
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リアンの銀色の髪。それが窓から入る夕日に朱色に染まっている。こいつの髪に、朱色は絶対に似合わないなと思いつつ、テスは自身の赤茶色の髪をいじる。
「今度生まれ変わるなら、決してショタっ子でもイケメンでもなくて、かといって欠点をあげるところがなくて~いい意味でも悪い意味でもさして目立たない普通のやつになりたいんだよなあ」
テスはその言葉に心底呆れる。
「生まれ変わり?ついにオカルトに手を出したかお前。悪いことは言わないからさっさと抜け出せ。人間なんて死んだら終わり。期待するだけ無駄」
そうしれっと言ってやると、リアンはぶすっとふくれる。
「人の苦労も知らずにそんなこと言いやがって!この容姿のせいで、上官のしごきのターゲットになることよりか、男に犯されないかと日々戦線率立とするこのキャンパスライフ!こんないだなんて、晩飯の後外で一人特訓してたら先輩どもに草陰に連れ込まれそうになったんだぞ」
「結局返り討ちにしたんだろう?それだけの力があれば、やすやすと犯されやしないさ。それでもいやなら
「無理に決まってんだろ!金!ここでたらオレ生活できない!」
それはそうに決まっているだろうな、とテスは思う。軍事系の大学は学費が要らないどころか給料ももらえる、こんな時代にありながら天国のような場所だ。だが、そこに入るという事はこの国に身を捧げる―自身の
「じゃあ大人しく貞操を捧げりゃいいんじゃないか?一度汚れてしまえば、その後のことはあきらめもつくさ。慣れたら存外気持ち良くて、癖になるかもしれないぞ」
「…ようになってたまっかチクショー!!って言うかなんてこと想像させやがんだこの腐れ外道!」
どうやら、リアンはその光景を想像したらしい。頭を抱えて振るリアンを、テスはしれーっとみた。
「お前な、なんだその眼は!友達が悩んでんだぞ、同情ぐらいしろ!」
「はいはい、かわいそうですねー」
面倒くさいから、言葉だけで同情しておく。
「お前、棒読みくらいやめろ!」
腹を立てたリアンは、板張りにだんだんと足音を立てさせながら、出入り口の引き戸をバアンと開けた。そして振り返りざま叫ぶ。
「もういい!覚えとけよ、オレはお前が来世で絶対、オレみたいなショタっ子になるよう呪ってやる!!!」
「オレと同じ苦労を散々味わいやがれ」とバアンと閉じられる扉。
彼が言った言葉を一度口の中で反芻すると、やれやれとテスは椅子から立ち上がった。
「つくづくアホだな、リアンは」
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