My sweet home~恋のカタチ。3 --ash gray--

森野日菜

Run after

第1話 蒼の季節(1)

昨日の


隆ちゃんと食べたお好み焼き


美味しかったな~~。


ホットプレートがあれば家でも食べれるんだ。


お好み焼き!



夏希は昼休み、ぐうたらしながら夕べのことを思い出したりしていた。


そこに


八神のデスクの内線が鳴る。



八神は朝から外出でいつ戻るかもわからなかった。


誰も部署にいなかったので、


「あ、ハイハイ。 八神さんのデスクで~~す!」


能天気に電話に出ると、



「え、あの、」


女性の戸惑ったような声がした。


「どちらさまですかぁ?」


「・・八神、慎吾は。」


「えっと、でかけてて。 いつ戻ってくるかわかりません。」


そのまんまを伝えた。



「・・あの、」


「え?」


「ひょっとしてあなた、加瀬さんですか?」



藪から棒に


そう言われて。


「は? え? なんで知ってるんですか? どちらさま?」


夏希は頭の中がハテナでいっぱいだった。





下の内線電話で直接掛けて来たその女性は


事業部にやって来た。


チャパツで


目がクリクリっと大きくて。


背は


そんなに高くないけど


キレイにネイルを施したツメが印象的で。


いや


それよりも


なんか


芸能人みたく


かわいかった。




「あのう・・」


夏希は彼女にどう切り込んでいいかわからない。


「・・あなたが、」


その彼女は夏希の全身を舐めるように見ながらまたもつくづく言った。


「なんだ、別にブスじゃないじゃない、」


「は???」



何を言いだすのか?


初対面のこの人は。



「でっかいけど。」



夏希は冷静にこの状況を見つめながらも


「すみません、どちらさまで?」


怪しげに彼女に言った。



「・・慎吾は?」


その質問を無視するように彼女は言った。


「は? しんご??」


「八神慎吾よ。 どこ行ったの?」


「だから、外出で、」


「何時頃戻る?」


「わかりません、」


彼女はずんずんと中に入ってきて、おもむろに八神の席に座った。



「あの!」


夏希は止めようとしたが、デスクの上に置かれたちっちゃなガンプラを見て、


「ったく! 子供みたいなもん置いちゃって。 しっかも・・」


引き出しも勝手に開けて、お菓子がたくさん入っているのを確認し、


「小学生? なにコレ!」


「ちょ、ちょっと!勝手に開けたりして、」


夏希はさすがに止めた。


「ああ、いいのいいの。 ほんっとしょうもないんだから。」



夏希が呆然としていると、


「あ、ごめんなさい。 あたし、多賀谷美咲。」


ようやく彼女は名を名乗った。



って、言われてもね・・。



夏希はため息をつきつつ、その名前にハッとした。


「えっ!ひょっとして、八神さんの彼女ですか?」


失礼とかそんなことを全く思わずに聞いてしまった。


「彼女? 慎吾、なんて言ってたの?」


「や、普通に・・彼女って。」


「そっか、」


彼女はちょっと嬉しそうだった。

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