シャドウ・アンサー

黒崎ラルガ

◇不順の始◇



大雨。雷が鳴り響き、風に荒れる木々。

ザァザァと、そしてゴロゴロと。

つい先刻までは晴れていたというのに。

山の天気は縛られるものではない。



突きつけられる雨で痛いのか

体温を奪われ冷たさで痛いのか

もはや分からない。



だが、洞窟の奥にはそれは届かない。

全身傷だらけでフードを深くかぶった何者かがずぶ濡れのまま祈り言葉を唱えている。




__なにかに、怯えるように。




「……我らは叶えよう、自らの手で。我らは掴もう、自らの幸せを」








ドゴォォォオオオオン!!!








ゴォォォ…と低い音で地面が揺れる。



「くっ……!」



危険を感じ洞窟の奥に向き直る。




「ここで………?!」




死を悟った。







突如岩の裂け目から光が差し込んだ。

一瞬にして辺りを光で支配される。






そして、その光に

目を腕で覆うことしか出来ない。




それは眩しく、


そして、熱かった。







「うわぁぁぁぁあああーー!!!」












そこであった出来事を、



知るものはいない。誰も。

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