第3話 白い服の…
今日の講義全てが終わった。
家に向かう頃、空は真っ赤な夕焼け空だった。気味が悪いくらいの。
いつもと変わらぬ道を通る。もちろん朝と同じ。
(まだあの神社はあるだろうか)
(朝だったし寝ぼけてたんだよね。)
(だってスマホでいくら調べてもそんな神社ないし…)
なんてことを考えながら、朝、神社があったところまで来た。
(………‼︎‼︎‼︎‼︎)
朝と同じだ。
今は眠くない。どちらかというと、お腹が空いたくらいだ。だから寝ぼけて見間違うことはない。
私は不安でいっぱいになった。怖かった。
でも、私の足は動かない。
背中を汗が伝うのがわかったくらいだ。
(…さァ おいデ)
「誰なの⁈」
(さァ はやく ツキがしずムマえに。)
声が聞こえる。今にも消えそうな声。
でも、一言一句、頭に響いてくる。
なぜかとても懐かしい。
すると
「シャンシャンシャン…」
鈴の音がした。
クリスマスに聞くサンタの足音とは全然違う。
どちらかと言うと、祭囃子のような奇妙な華やかさを持った音だった。
ゴクン…
私は鈴の音に足を引かれ、神社に踏み入れた。
一歩入っただけで、空気が変わった。まるでさっきいた場所から1℃下がったみたいだ。
少し歩くと階段があり、登り切ると、本堂が見えた。辺りはもう暗くなっていた。
鈴の音は本堂に近づくたび、大きくなっていく。
不気味に感じながらも、心が引かれていった。
「待ってたよ」
本堂の前には白い着物を来た少年が立っていた。身長は150cmくらいだろうか。女の子かと間違うくらい肌は透き通っていて、真っ白な髪を後ろで束ねている。
「誰⁈」
「忘れちゃったの?琴葉ちゃん僕はずっと待っていたんだよ」
「なんで…私の名前を知ってるの?」
「それはね………もう時間だよ」
私はその場から動けない。
彼は私の名前を知っていた。それに待っていたと言った。
「時間って?」
彼は空を見上げた。
私も彼につられて空を見る。
そこには大きな真っ赤な月が昇っていた。まるで月にいるウサギさんが血を流したみたいに…
「えっ…」
「月が赤いだろう」
彼は言った。
「ここはあの世とこの世の間なんだ。あの月は死んだ人の涙だよ。涙は血の色をしているんだ。」
笑っていた。どこか寂しそうな笑顔で。
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