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「じゃぁどうしてここで飲んでるの? コーヒーは飲めたよね?」
「あ、まぁ」
春喜君は歯切れ悪くそう言うと、ごまかす様にストローを咥えた。
「分かった、咲和ちゃんだ」
「なっ!!」
ゴホゴホッと咳き込んだ春喜君に申し訳なさよりも笑いが込み上げてくる。あーなんでこんなに素直なんだろう。
「咲和ちゃんが好きなドリンクなんだね」
小さく頭を左右に振って見せるけど、その表情からしてビンゴだろ。
「好きかは・・・美味しいとは言っていましたけど」
「それで飲みに来たんだね」
さすがに「かわいー」とは続けなかったけれど、この二人は見ていて微笑ましいわぁ。
「で、今日はなに、デート?」
「ブッ! ちょっスカイさんっ」
ごめんごめん、ついからかいたくなっちゃって。
「違いますっ、別にただ、ただこれを飲みに来ただけで」
「ふーん」
ニヤニヤしていたのがばれたのか、春喜君はふてくされたようにそっぽを向いてまたストローを咥える。意地悪し過ぎたかな? なんて。んー美味しい。
「俺」
「ん、なに?」
「結構スカイさんのこと尊敬しているんですよ、これでも」
「え、そうだったの?」
嘘だ。いつもこんなことしか言ってない適当な人間なのに?
「スマートなところとか、さりげない気配りだとか、カッコいいなって思っていたのに、本当は酷い人ですよ」
「わかっちゃった?」
少年の希望を絶望に変えちゃったかな? なんて。
「最近うすうすね。憧れていたのに残念ですよ」
「わー、もう憧れるの辞めちゃった?」
「・・・そういう所も嫌いじゃないんですけど、出来ればこれ以上は。もっとかっこ良いままでいてくださいよ」
そうやって悪戯っぽく笑う。大丈夫春喜君。世の中の格好いい手の届かない憧れの人物だって中身はみんな同じ人間なのだから。いいとこも悪いこともあって魅力ある人間になるんだろうし。
「将来俺みたいになりたい?」
「店を継ぐつもりなんで 、バーテンダーさんにはなりませんけど。スカイさんみたいに楽しく生きたいです」
俺、そんな風に見られているのか・・・でもそれ、間違ってないよ。
「大人になるって楽しいよ」
「スカイさん見ているとそんな感じします」
そりゃ良かったよ。
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