『フォードvsフェラーリ』 アメ車でフェラーリに勝て!

 かつてル・マン24時間レースで優勝経験のある主人公だったが、病気で引退を余儀なくされる。


 ディーラーで食いつないでいた彼に、フォード社からの重役が。

「アメ車でフェラーリをぶっつぶせ」

 という依頼が舞い込んでくる。


 これまで普通車一色だったイメージを一新したいフォードは、経営危機のフェラーリを買収しようと試みる。


 だが、「二世は所詮二世やな!」と門前払いされていた。


 激怒した社長は、

「ル・マンでフェラーリをこてんぱんにしろ」

 と部下に指示する。


 猶予は90日。


 車は完成したが、ドライバーは問題児。

 彼はそうそうに、フォードの重役とやりあってしまう。


 テストドライバーとしてアドバイスを続けていたが、上司の印象が悪い彼はレースに出られなくなった。


 フォード工場で車を整備しつつ、問題児はラジオでレース結果を知る。

 レース惨敗を告げるラジオ。

 彼の懸念は的中した。


 散々な結果を罵倒するフォードの社長。

 だが主人公は言う。


「最後だけはフェラーリをビビらせたんだ。次のデイトナは勝つ!」



 彼はドライバーに問題児を推し、彼に「エンジンを7000回転」させ、見事デイトナで優勝した。

 


「池井戸潤の作品」っぽいという感想もちらほら。


 たしかに、本作は「負け犬が這い上がる内容」といえるっちゃ言える。


 レースに出られなくなった主人公。

 素行不良で、世間から認められない腕の立つ問題児。

 そして、レースでは土をつけられ続けていた、普通車代表のフォード。


 ただ、彼らは手を組んでいるようでいて、どこか歯車が噛み合っていない。

 フォードと主人公勢の誰しも、同じ目標に進んでいないのだ。


 こういうトラブルにさいなまれ、ドラマは加速度を増していく。


 作中、

「ブレーキに損傷が起きる」

 ことが頻発するが、ドラマも同様であった。

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