『半分の月がのぼる空』 ラノベ界の異端と呼ばれて

 寂れた伊勢を舞台に繰り広げられる難病もの。


「心臓に穴の空いた少女を面倒見ろ」と命令され、主人公は少女のワガママに振り回される。


 砲台山にカブで登ったり、文化祭で主演の代役をしたりなど、一見するとヒロインは元気そうな印象を受ける。

 それだけに、病魔が体を蝕むシーンは胸が締め付けられた。

 


 原作未読で視聴。


 主演の池松壮亮は、『紙の月』『セトウツミ』などで見ていたので、今見ると若々しい。


 元外科医役の大泉洋氏は、この直後に『もしドラ』などにも出演しているので、ラノベ原作映画と相性がいいのかも。



 原作ラノベが出たのは2003年。

「ヤングアダルト系」が「ラノベ」と呼ばれて数年、そろそろ呼び名が定着し始めた前後辺りかな?


 当時、ラノベ原作で難病ものは異端と言われていた。

 それでも刊行され、大成功を収めた。



 実写映画版、これで黒歴史扱いとは……。



 正直、「原作通りではない」という脚色は、あれはあれで感動した。


 全8巻もある原作を、2時間でどう料理するのかなと思っていたが。


 ああいう仕掛けは大好きなので。


 オレはどちらかというと、原作を処理した「方法」に感心したんだが。


 それだけに、原作における重要キャラを丸々処理してしまっているのは、いただけなかったのかなぁ。

 

 ただ、原作既読者の感想などを見る辺り、おそらく

「原作の持つ重大なメッセージ」

 は伝わりきってないんだろう。


 それでも、個人的には刺さったので、悪くは言えないかなぁ。

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