『プレイング・ハード』 リアル「今日も一日頑張るぞい!」

 大人気ゲーム「フォーオナー」の製作秘話。


 剣を持って対戦する3Dゲーム『フォーオナー』の製作を4年追いかけ続けるというドキュメンタリー映画である。


 プレイヤーはナイト、バイキング、サムライの三タイプのキャラを選び、戦場へ向かう。

 彼らはそれぞれ、自分たちの信じる栄誉(オナー)のために、剣を振るう。


 

 彼は10年以上、このゲームの企画をプレゼンし続けた。

 だが、会社は難色を示す。「売れないよこんなの」と。


 出資者相手によるテストプレイを控え、責任者は言う。

「いつもは、『スケジュールの都合ガー』とかって難癖つけられて断られることが多いんだ。けどさ、このゲームに関しては、前日から来てリハーサルしてやんの。ロケテストで勝ちてーの」

 


 プレゼンは順調だった。しかし、トラブルは起きる。

 100人単位で人が足りなくなった。

 仕方なく、機能を一つ犠牲にして、他のクオリティを上げて売ることに。

「ゲームの核になる部分じゃん、残念だ」

 と、開発スタッフから声が漏れる。


 




 

 この映画を一言で言えば、リアル「New Game!」だ。

 今日も一日頑張るぞい!


 クリエイティブディレクターのジェイソン・ヴァンデンバーグが、いわゆる「コウちゃん」のポジションである。

 ヒゲのオジサマだが。

 

「世界の仕組みに興味があるなら人は必ず暴力に興味を持つ。

 暴力は、衝突の結果だからだ。

 暴力に魅了されても振るいたいとは思わない。

 私は平和主義者だ」


 ジェイソンは、朝7時から夜の10時までシナリオ執筆。

「ラスボスは特に、ボクの思想を反映させたかな」

  

 ジュース(モンエナ?)二本飲んで「お昼ご飯終わり」と宣言する。

 そんな生活。

 彼の妻は言う「彼は創作モードに入ると没頭しちゃうから、私が支えないと」


 ジェイソンが広大な山を杖をつきながら登るシーンが、劇中で度々挟まれる。

 まるで、彼がゲームの世界にいるかのよう。

 

 無事、ゲームは発売日に間に合った。

 だが、会社はある決断を下す。

 彼の栄誉(オナー)を踏みにじる、残酷な決断を。

 



 


 エンタメを作っている側の視点で終始展開される。

 

 いかに彼らがスポンサーに興味を持ってもらうために工夫をしたか。

 ユーザーに早く完成品を提供するために妥協するか。


 栄誉(オナー)を得るのは誰か。

 

 誰を残し、誰を切るのか。

 

 それらの事情が、赤裸々に描かれている。

 結構突っ込んだドキュメンタリーだ。


 題材がゲームなので、興味のある人も多いかなと思う。





「ディズニーモードって作って、首や血が飛び散らないようにしようぜ!」

 という会話がスタッフ間で流れるシーンがある。


 それはそれで、別の血の雨が降りそうだが。

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