『ミッドナイト・ラン』 変わり者を護送だけの簡単なお仕事のはずが

 賞金稼ぎと変わり者会計士との旅。


 警官をクビになったウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ:樋浦勉)は、保釈中に脱走した犯人を公判日までに捕まえる「賞金稼ぎ」の仕事をしている。

 いつものように犯人を捕まえたウォルシュは、保釈金ローン会社から、

「マディーカス(チャールズ・グローディン:玄田哲章)会計士を逮捕しろ」

 と依頼された。

 その逃亡者は、ギャングの金1500万ドルを横領し、チャリティに寄付したという変わった経歴を持つ。

 報酬は10万ドル。

 

 彼の仕事は、五日後の裁判までに、マデューカスをロサンゼルスへ連れ戻すこと。

 

 FBIになりすましたウォルシュは、NYでマディーカスを捕獲。

 

 目的地は、飛行機で五時間の距離だ。あとは連れ帰るだけの簡単なお仕事。


 しかし、マディーカスは飛行機恐怖症だった。

 離陸直前に、二人は機長に追い出された。


 夜行列車のトイレに閉じ込めても「閉所恐怖症で!」と、解放を望んでくる。


 おまけに保釈金会社がウォルシュを信用せず、ライバルの賞金稼ぎを雇った。

 ライバルを捕獲したまではよかったが、ウォルシュはクレジットを使用停止にされてしまう。



 バスで目的地に到着すると、ギャングが待ち伏せしていた。

 そこにFBIが到着し銃撃戦に。

 FBIの車を奪って、二人は逃亡する。


 別れた家族に会いに行くウォルシュは、元妻と口論になってしまう。

 だが、娘と会ったことで彼は少しだけ心を開く。

 妻からわずかな金と車を手に入れたが、ウォルシュは娘からの金までは受け取らなかった。


 

 ウォルシュは潜入捜査中にはめられ、警官をクビになった。

 マフィアと繋がって腐敗した警官から、ワイロを受け取らなかったせいで。

 

 マデューカスは真っ当に働いていたつもりが、ギャングの片棒を担がされていたことに絶望した。結果、横領に手を染めた。


 彼らのしていることは、どちらも悪いことだ。

 しかし、二人は信念において共通していた。


 二人は表面上はクズだが、どこか似たもの同士で、絶対に本当のクズにはならない。

 その信念があるからこそ、二人はケンカしつつも通じ合い、共に行くことができる。




 コメディとシリアスのバランスが見事。


 本作は、デニーロ作品でも最高と評価もある。

 また、コメディ映画としても非常に完成度が高い。

 ギャグとシリアスのバランスがちょうどいい。


 シリアスの濃度が濃いと、見るのがしんどくなる。

 かといってギャグ要素が強すぎると、味がクドくなる。

 

 本作はこのバランスが絶妙なのだ。

 警官との追いかけっこ、ヘリに追われる展開など、次にどうなるのかがまったく予想できず、見ていて魅了される。


 だが、注意深く見ていると、上手い具合にプロットポイントがあり、ここで泣かせる、ここは笑わせる、ここはサスペンスと、作り込まれているのが分かる。

 

 

 プロットを練り込み、次の展開を予測させない。

 



 来世で会おう(次の更新はないとは言ってない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る