『ツレがうつになりまして。』 もう倍返ししない

 激務によって夫がウツに。

 漫画家である嫁は、当初こそ理解を示さなかった。


 だが、彼女は徐々に夫へ理解を示し「がんばらない」と決意。


 夫役の堺雅人氏は、『半沢直樹』で反逆リーマンとしての地位を築き上げている。


 だが、本作ではクレーマーにも言い返せないほどに情けない。

 ウツに理解を示してほしく会社に討ったえかける。 

 が、当時は世間のウツに対する知識が乏しく、相手にされなかった。


 退職後も、自分を「ダメ人間」と責める毎日。

 何もやる気が起きず、そんな自分をダメなやつと決めつける。


 妻である主人公も、夫を支えたいが仕事がない。連載も打ち切られている。

 タイトルは、編集者に事情を話して「仕事をくれ」と懇願したときに、フッと出た言葉だという。



 精神科医樺沢紫苑氏も「半沢を見る前に見て欲しい映画」として、本作を紹介している。 

 それくらい信頼していい作品だ。

 なんといっても、

「ウツの特徴が、テキストで読む以上にビジュアルでわかる」

 ことを、本作のよい点に上げている。



 本作で強く主張しているのは、

「ウツとは、誰でも起こりうる」

 という部分だ。


 なんでもないところでも、「ウツは誰にもかかる」と伝え、特別じゃないシーンの直後に、知り合いが自殺したりする場面が挟まれる。


 ふとしたきっかけで、ウツの人は衝動的な行動を取ってしまうという危うさが絶妙なのだ。

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