『カンフー・ヨガ』 ジャッキー版ワイルド・スピード!?
ジャック(ジャッキー・チェン:石丸博也)はチベットの雪山に眠る財宝伝説を調査する考古学者である。
同じく考古学者の女性アスミタ(ディシャ・パタニ:宮島依里)が、ジャックに財宝の在処を示す地図を持ってきた。
チベットへ赴き、貴重な財宝を掘り出そうとする。
友人の忘れ形見で、今はハンターとなったジョーンズと一緒に、現地へ。
ところが、あと一歩の所でランドル(ソーヌー・スード:山路和弘)という謎の富豪が邪魔に入った。
紫に輝く宝石の争奪戦となる。
乱闘の後、宝石はジョーンズの手に。
ジョーンズは、ドバイで宝石をオークションに掛けていた。
財宝は中国とインドを結ぶ大切な宝だ。取り戻さなくては。
友人の金持ちの力を借りて、宝石を見事落札。
しかし、またしてもランドルの妨害が。
ジャッキー映画では珍しいカーチェイス!
大昔にポリス・ストーリーでバスを身体一つで止めるシーンがあった。
今回はランボルギーニやブガッティなどが走り、本格的!
ジャックはドバイの金持ちの車に乗りこみ、宝石を追う。
中にライオンが。使われているのは、なんと本物のライオン!
なんや、今回、色々仕込んでて楽しいで!
結局、宝石はアミスタの手に渡った。
彼女は唐と国交を結ぼうとした古代北インド最後の王朝・マガダ王国の子孫だという。
宝石は「シヴァの目」といい、インド最高の秘宝を示すカギの一部だという。
ところが、シヴァの目はランドルの手に渡ってしまう。
彼はマガダ国と対立したアルジュナの子孫で、アミスタとは永遠のライバルだった。
秘宝である黄金を見つけ出すが、そこでランドルは、秘宝の正体を知る。
それは黄金以上の価値があった。
しかし、ランドルは黄金以外に興味を持たない。
ジャックは財宝を守るため、ランドルと最後の戦いに。
本作は、人がほとんど死なない。
冒頭のインド内乱シーンのみ。しかもCG処理されている。
他には、雪山の中に、軍隊のミイラがあるくらいか。
戦闘シーンはド派手なモノの、全体的にコミカルで、殺伐とした雰囲気は皆無だ。
ラストのダンスも、ボリウッドの振付師ファラー・カーンが担当している。
「木根さんの一人でキネマ」
の「カンフー・ヨガ回」にて、木根さんは姪っ子に「古典的カンフー映画とは何か」を指導しようとする。
だが、姪っ子にはカンフー・ヨガこそジャッキー映画なのだ。
確かに、娯楽映画として、本作は最高の位置に達している。
興行成績に置いても、ジャッキー映画史上最大らしい。
だが、木根さんは「過去のジャッキー映画の素晴らしさ」を押しつけようとする。
木根さんの行いは、まさに老害のそれだったのである。
正しい文献も、その時代を生きる人によっては老害となりうる。
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