『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』 雰囲気映画感を、ぶっ壊す
主人公は、妻を亡くしたのにチョコレートの自販機にクレームを送る。
だが、その内容は支離滅裂で、妻を亡くしたことへの話や列車を勝手に止めた話ばかり。
それは、始めて感じた感情だった。
彼はこれまで、人に関心を示さなかった。
妻から冷蔵庫の修理を頼まれても知らん顔。
プレゼントを妻からもらったにもかかわらず、封さえ開けていなかった。
一人になった彼はようやく、人と関わることを始めた。
漠然とみていると、よく分からない映画。
「なんとなくこんな感じのテーマかなー」と思いつつ、理解できていないかも、と不安になる。
人のレビューでネタバレを読んで、事実確認をしないと感想すら書けない作品だ。
決して難解ではない。
ただ、複雑すぎる描写のせいで、テーマの読み違いが生じて「雰囲気映画かな?」と誤認しまう可能性が高い。
既にタイトルからして、雰囲気映画感満載だ。
主人公の義父が、いいことを言っている。
「分からないときは分解するんや!」
それは、この映画でも同じことが言える。
主人公はその言葉を真に受けて、冷蔵庫を水漏れ直すどころか破壊。妻が買ったクソ高いコーヒーメーカーも破壊する。
クレームを言った自販機メーカーの女性とも仲良くなり、その息子と友情関係に。
しまいには、女性の息子と一緒に自分の家さえ壊す。
だが、本当の崩壊はその直後に待っていた。
主人公は全てを失う。
その直後、ようやく彼は再生を始めるのだ。
自らを壊して、作り直したのである。
ここまで来て、この作品は「破壊と再生がテーマ」だと分かる。
ちなみに、サルが毛繕いをするシーンは伏線で、この行いは「思いやりを主人公が学ぶ」ことへのメタファーであるらしい。
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