『鑑定士と顔のない依頼人』 「ざまぁ」の参考に

 金はあるが非モテの鑑定士が、依頼人の女性と恋に落ちる。

 

 この主人公がイタい。

 女性恐怖症をこじらせ、気に入った女性の肖像画をホームレスに買い取らせ、隠し部屋に集結させて眺めるという趣味を持っている。

 筋金入りの非モテだ。

 彼にとって、美術品は「女性の代用品」にすぎない。

 よって、ヲタの鏡というより、ただの変人と言える。


 女性は死んだ両親の遺品整理をするため、両親のコレクションを競売に掛けてくれという。


 だが、女性は姿を現そうとしない。

 あったのは、一つの機械部品のみ。


 彼は知り合いの職人に部品を見せると、

「貴重なオートマタの部品だ」

 と教わった。


 その後、依頼人と会話はできるモノの、一向に姿を現す気配はナシ。

 オートマタの部品だけが、毎回部屋に落ちている。 


 主人公は、部品を集めては職人に修復を依頼する。




 オートマタが完成に近づいたとき、いよいよ依頼人と対面を果たすが、彼女は絶世の美女だった。



 これは騙された。

「予想できない展開」とは、まさにこのことである。


 未だかつて、「なんとなく展開が読める病」だったオレでさえ、この展開は予測不可能だった。


 見事に引っかかった。


 清々しいまでの騙しテク。


 オーシャンズ11でも、ここまでスッキリしなかった。

 

 先述した『22年目の告白』クラスではないか。

 それだけ見事である。

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