『チョコレートドーナツ』 実在モデルの方が救いのある話

 ゲイカップルがダウン症の子どもを拾って育てる話。


 原題は「Any Day Now(いつの日か)」だ。



 ゲイバーで口パクダンスショーを行う主人公は、隣に住むダウン症の子どもを引き取る。

 彼の母親は薬物使用で捕まり、親戚もない。

 

 バーで知り合った弁護士を頼り、どうにか保護権利を手にした。

 それから一年もの間、ずっと少年を育ててきた。


 だが、ゲイであることを隠し続けたコトに疲れた主人公は、ついにカミングアウト。

 結果、世間の風当たりをまともに浴びてしまう。


 自分のせいで恋人は弁護士をクビになり、少年も施設に逆戻り。


 親権を取り戻そうとするが、悲劇的な結末を迎える。



 書いているだけで、胸くそなエンディングである。

 結末はご自分の目で確かめていただきたい。

「みんなのトラウマ」になること間違いなしだ。


 だが、このドラマは辛気くさいテーマながら、見る人を飽きさせないシナリオであり、難しいテーマを見事なキャラ配置で描き抜いている。



「老けたおっさん二人が、いまさらイトコごっこ? バカにしないでよ!」


 カミングアウトのきっかけになった、上司宅でのやりとりは、静かなシーンながら緊迫感がある。



 なお、この映画には実在のモデルがいる。


 そちらはネグレクト児童を育て上げたゲイらしく、偏見はあったかもしれないが、見事立派に育て上げ、子どもも健在だとか。

 

 こちらの方が、映画よりよっぽど救いがある。

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