『ブレックファスト・クラブ』 仮面ライダーフォーゼの構造
秀才、不思議ちゃん、不良、スポーツマン、お嬢様の五人が、土曜日に補習で呼ばれる。 図書室で「自分とは何か」という作文を書かされるために。
不良が他の生徒たちに噛み付いてくる。
「ガレージにペンキを零しただけで葉巻を腕に押しつけられる」
と不良は自分の家庭を表現する。
教師の目を盗んで外出した後、教師が図書室に向かっていると知って、不良は彼を引きつけるために不快な行動を取る。
そのせいで教師の怒りを買って、退席を命じられる。
不良を挑発し、「お前は何もできない」と思い知らせる。
だが、不良はまんまと教師を出し抜き脱出する。
生徒も図書館に戻ってきた不良をかばった。
5人中不思議ちゃん以外の四人全員、不良が隠し持っていたマリファナを吸う。
本作をごり押ししている映画が『ピッチ・パーフェクト』だ。
作中、ヒロインの恋人候補の男子が、この映画を、というか映画音楽をやたら進めてくる。
ヒロインは始めこそ嫌がるが、重大な局面に瀕したときに本作を見て涙する。
本作に出てくるキーマンは、実は掃除夫なんだとか。
掃除夫が本校のOBであり、優等生だった当時の写真が飾られている。
だから、ガリ勉は「スポーツで一番になっても、こうなってしまうことだってある」と身にしみて分かっているのだ。
教師は、極秘ファイルと称して生徒の家族の秘密が書かれたファイルを隠し読んでいた。
その場面を掃除夫にバレる。
不良は、複数の女性と交際している。
姫に「一人に絞らないのか」と聞かれても、「そんな生活イヤだ」と答える。
不思議ちゃんはゴミをカバンに詰め込んで、路上生活できるように過ごしている。
家から逃げたくて。
しかしマッチョは言う。
「それは本当に家を出たいのか? そう思われたいからじゃないのか」
「オレはお前みたいに、カバンをぶちまけて不幸をアピールしたりなんかしない!」
彼の強い言葉に、不思議ちゃんは心を開く。「親が無視をするの」
一言で表現すると、本作は『仮面ライダー フォーゼ』だ。
フォーゼでも、「不良」が主人公を務め、「ガリ勉」が主人公のライダーを補佐する役で、「姫」と「マッチョ」と「お調子者」と「不思議ちゃん」が仲間に加わった。
特に不思議ちゃんは、本映画の生き写しなのではないかと思えるほどである。
最初こそ反発し合い、衝突を繰り返してきた五人の生徒たち。
教師という共通の敵を相手にすることで、絆を深めていく。
終盤、彼らは打ち解け合い、本心を語り合うまでになる。
自分たちは、学校で顔を合わせたら挨拶するのか? と。
優等生二人は無視するという。
話し合うことはできても、理解し合えても、それは本人たちの問題だ。
事情を知らない周りから、奇異の目にさらされることになる。
それが、スクールカーストというものだ。
立場がある故に、寄り添えない。
だが、ガリ勉は「無視しない!」と言ってのけた。
スクールカーストの底辺ができることを、自分はできなかった。
それが原因で事件を起こし、彼は補習に連れてこられたのである。
ガリ勉はその背景があるから、彼らを否定しない。できないのだ。
周りだって、重圧があり、抑圧があって、逃げたい事情があった。
それをさらけ出すことで、ようやくお互いを理解し合うようになる。
立場が違うからこそ、さらけ出すことができる本音がある。
他の方も仰っているのだが、BD、ブルーレイ版がオススメだ。
吹き替え版が入っているのがこれらしいので。
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