『怒り』 誰にとっての怒りか?
八王子で起きた夫婦惨殺事件。犯行現場には、血液で書かれた「怒」の文字が残されていた。
事件から一年後、ついにテレビによる公開捜査が行われることになる。
視聴者に提示された容疑者は三人。
・漁港の作業員、松山ケンイチ。渡辺謙の娘に惚れている
・妻夫木と共に暮らすゲイ、綾野剛。無職
・沖縄の孤島に住む「田中」を名乗る男、森山未來
モンタージュはどう見ても綾野剛なのだが、容疑者は三人とも、右頬に三つのホクロがある。
登場人物達は、自分の知り合いは無関係だと信じたいが、その感情が徐々に揺らいでいく。
物語は特に犯人を探す演出をせず、自然と真相が明らかになっていくスタイルを終始貫いている。
捜査はしているのだが、まるで進展しない。
ジャストタイミングで、指名手配犯のニュースが流れるなど、いたるところにミスリードを設けている。
「もしかして」と、キャラ達は悩む。
信じたくても、相手の素性がまったく分からない。
また、容疑者たちの行動も意味不明で、不信感を抱かせる。
よって、信じ切ることができない。
そこが、見る側をドラマに没入させることに成功していると思う。
決着が付いたとき、彼らが感じる「怒り」とは何か?
誰に向けられるのか。
犯人に対してか?
それとも、相手を信じられなかった自分にか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます