創作に役立たない、「映画の感想」

『魔界転生 深作欣二版』 若山富三郎のすり足斬り

　島原で果てた天草四郎が、ベルゼブブの力で復活。

　歴代の達人を復活させて、徳川転覆を狙う。

　仲間の忍びを殺害され、不穏な空気を察した柳生十兵衛は、父但馬に連絡を入れる。

　が、但馬もまた闇に飲まれていた。

　徳川に巣くう闇を斬らんと、十兵衛は村正を手に入れる。

　JACアクションもさることながら、見所満載だ。

　沢田研二の怪しさときたら。

　サムスピの天草四郎のモデルらしいけど。

　徳川を滅ぼすためなら、転生はドタキャンしないだろう。

　千葉真一VS緒形拳の緊張感。

　村正の養女が笛を吹く中で決闘が行われる。

　原作者の山田風太郎は、あまりの変わりっぷりに怒ったらしいけど。

　オレも、丹波哲郎の打った村正が欲しいと思ったクチだ。

　ちなみに、「『Fate』は本作のオマージュである」と、TYPE　MOONは公言している。

　この映画の見所は、炎上する江戸城の中で繰り広げられる、若山富三郎の殺陣だ。

　斬りかかってくる侍を、すり足のままズンズン進みながら切り刻んでいく。

　剣を受け止めて、弾いて、胴体を薙ぐ。

　後ろから四人がかりで斬られているのに、四人同時で止める。

　歌舞伎の動きそのままで。

　どうやって動いてるねんと。

　斬る度にクルクル回るのが、またカッコいい。

　しかも、囲まれているから、演舞ではなくちゃんと実用性に富んでいるのだ。

　これはやみつきになるので、是非一度視聴していただきたい。