創作に役立たない、「映画の感想」

『のぼうの城』 イメージ通りのキャスティング

　豊臣秀吉による水攻めによって滅びた城を見て、石田三成は思う。

「オレも水攻めしたい！」

　石田三成に攻められている城の城主が、機転を利かせて危機を乗り越えようとする。

　水攻めバカの三成は、とにかく「水攻めがやりたい」だけのために、色々と案を練る。

　原作既読。

　聞けば、始めから映像化ありきで進行していたのだとか。

　驚いたのは、キャスティングの妙だ。

　オレは絶対、のぼう様は野村萬斎氏で脳内変換していた。

　船の上でまともに田楽踊りなんてできる俳優なんて、野村萬斎氏をおいて他になしだろうと。

　話し合いで穏便に済ませるつもりが戦になってしまい、世間体を省みず、配下や村人たちに「ごめーん！」と誤り倒すのぼう様。

　痛々しいシーンだが、キャスティングのおかげで説得力が増している強烈なシーンだ。

　石田三成も、クイズ番組でオバカキャラが定着した上地雄輔氏だろうなと思って読んでいた。

「ただ水攻めやりたいだけ武将」の配役に、見事マッチしている。いい人だって後に分かるけど。

　他のキャストも、これ以上ないといったメンバーを揃えてきた。誰一人としてミスキャストなし。

　この映画ほど、原作の脳内キャスティングがマッチした映画は、かつてない。