『スクール・オブ・ロック』 コーチモノではない。オッサンが復活する話だ

 臨時教師だと偽って、音楽教師の職を得たおっさん。

 彼は厳格な学校に通う無気力な子どもたちを、ロックで立ち直らせていく。


 この映画は、「誰を主役として見るか」で評価が真っ二つに分かれる。


「無気力な子どもらが奇妙なおっさんのバンド指導を受けて成長する話」

 と思って見ていると、

「おっさんがしゃしゃり出てくんじゃねえ!」

 と頭にくる。


 そして、こう言うんだ。


「『天使にラブソングを』のウーピー・ゴールドバーグを見習え!」と。


 だが、その映画と本作では、求められている要素が違うのだ。


 個人的な意見だが、この映画は

「おっさんが子どもたちをふれあう中で、復活する話」

 だと思う。

 そう思っていれば、本作は最高に滑稽なバカ映画として楽しめる。


 対し、『天使にラブソングを』は、「修道女の全員が復活する話」だ。

 だから、みんなそれぞれの女性たちに共感する。


 だが、本作でもっとも救われたのは、実は主人公なのである。「彼の求めるロックが認められること」がゴールなのだ。

 だから観客にダイブするのは、おっさんなのだ。

 そこを許容できるかどうかで、この作品が好きかどうかが決まる。


 子どもたちは、おっさんに触発されて、「勝手に」成長しただけ。元々内面に素質があったのだ。


 そう、この映画は『天使にラブソングを』のオマージュ映画などでは断じてない。


『キンダカートン・コップ』のオマージュ映画なのだ。

 あれも、「おっさんが復活する話」だろ?

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