『南極料理人』 きたろうがウツになりまして

 南極の観測隊に料理人としてついて行った、海上保安庁隊員の話。


 クルーの誕生日には、ステーキサイズのローストビーフを出す。

 実はステーキなのだが、ちゃんと火が通らなかっただけ。


 冬至の日には、正装してフランス料理を提供する。

 主人公は観測隊を飽きさせないように、様々な工夫を凝らす。


 とはいえ、すべてが報われるワケではない。


 伊勢エビのエビフライが食いたいという、調査隊の要求にも応えた。

 それはよかったが、できあがり品を見てクルーは絶句する。

 食べる前に、メンバーが一斉に、エビの頭をテーブルに置く。このシーンがシュールで面白い。

「やっぱ、伊勢エビは刺身だな」と生瀬勝久に言われる。


 報われない表情の堺雅人がまた印象的だ。

 これが『水曜どうでしょう』の大泉洋だったら、エビを投げつけてブチ切れているところである。


 実のところ、キャストには一番好評だったという。


 また、山盛りのカニが出てきたときに、堺雅人が言う。

「ラーメンが底をついた」

 隊員が、ラーメンを盗み食いしたせいである。

 それを聞いた主任のきたろうが、自室にひきこもってしまう。

 物資がない南極で、こんな些細な状況でさえ死活問題なのだ。


 この話が、映画のラストに繋がっていく。

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