創作に役立たない、「映画の感想」

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

『シング・ストリート 未来へのうた』 バカにされてもやれ!

 一本目はこれ。

 現在、自分の中でベスト映画を上げろと言われたら、これかなと。

 それまでは「クール・ランニング」だった。


 カトリックの学校に通うこととなった主人公が、古風な校則や陰湿ないじめに耐えつつ、音楽の世界にのめり込んでいく話。


 この映画の面白いポイントは二つある。


 一つは、音楽の興味が変わる度に、バンドメンバーの服装がコロコロと変わるところだ。

 その一貫性のなさが、主人公たちの心情を表していて、非情に分かりやすい。思春期特有の代わり映えの早さというか。

 最終的に、主人公は自分の本心を取り戻し、自分だけの歌を演奏する流れが最高に素晴らしい。


 もう一つの点は、だらしない兄の存在。

 ジャック・レイナー演じる彼は、大学をドロップアウトし、引きこもり状態。

 うだつの上がらない生活をしつつ、弟である主人公に対し、

「バカにされてでもやれ!」

「他人の曲で女の子を口説くな! 自分の曲を作れ!」

 と鼓舞する。

 どんなときにでも彼の味方をする。

 ところが、終盤で彼は主人公に対する本音を吐露する。

 最終的に主人公を見送る。

 

 彼のだめっぷりは、正直、他人とは思えない。

 彼の

「バカにされてでもやれ!」

 という言葉に、オレはどれだけ勇気づけられたか。


 思春期映画としても、中年期の悲哀を描いた映画としても最高である。

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