第64話 スペインへ


僕はスペインのマドリッド地方に来ている。

空港を降りて直ぐにクラブからの案内人が来ていた。


アリーシャさんという通訳兼世話係の方だ。

なんとなくだが、僕の好きな協会の秘書の岩井 飛鳥さんに似ている。当然体の方も似ているので目のやり場に困る

「よろしくお願いします」

僕はとてもぎこちない様子で手をだした。

「ヨロシクね大地」

呼びなれないファーストネームだった。


車に荷物を載せて、クラブの保有する家に向かった。

着いた家はセキュリティのしっかりした大きな家だった

「大地、10人までなら友達をよんでもいいわよ」

「呼ぶにしても車がない。車の免許はどうなるの?」

「こっちの免許取ってもらうか、私が運転するわ」

「それは助かるな頼むよ」

「女の子は日本の知り合いは良いけどそれ以外はダメよ」

「え、なんで?」

「言葉もできないし、騙されてお金を毟り取られるわ。クラブのイメージもあるしね」

「そういうものなのか?」

「いえ貴方だけ特別ね。夜の相手が居ないなら私がするわ」

「ええええ」

「いやなら別の子を紹介するわ」

確かに僕は彼女と別れてからしばらく経つ。女性が恋しいのもあるが、サッカーに専念したい気持ちもある。

嬉しすぎる申し出なのだがどうすべきなのだろうか……

これは今度来る矢口球に相談しよう

「ちょっと考えさせてください」

この件は保留とさせてもらった。


そう言いながら、家の中を案内された。

「食事は基本は私がつくるわ。日本食がいい時はシェフを呼ぶことになるわ」

いろんな機材が置いてあるトレーニングルームへ案内された

「欲しい機材は言って頂戴用意しますから」

「それでは向こうから送りますので、手続きして貰えますか」

「何を送るんですか? 」

「改造された自転車ですよ」

鳴海自転車の俺用のやつを送って貰わないといけない。

あとでクラブに連絡して送って貰うように頼もう。


アリーシャさんが続けて話した

「会長と監督との面談がこの後入っておりますので、よろしいでしょうか」


僕とアリーシャはクラブの会長室へ向かった

部屋に入ると恰幅のいい男性が握手を求めて来た

会長ですと小声でアリーシャさんが教えてくれたので、握手に応えた

続いてマルコ監督を紹介されたので、簡単に自己紹介と握手をする

全員が座って話を会長が始めた。


「君にはうちのクラブのプレイングマネージャになって貰おうと考えている」

「どうして僕なんですか」

「儂が指名したんだよ」

マルコ監督がそう答えた


「マルコ監督には現場を離れていずれは会長になって貰うつもりだ。その後釜が君の予定だ」

「しかし僕には戻るべきクラブもあるし、師匠の技術的なものはお渡しできないです。ここでプレイヤーとして身に付けたモノでしたら多少は可能かもしれません」

「高橋よ、そんなに焦るでない。まずはスタメンを取ってからの話じゃ急がずとも良い」

「それと僕も矢口もオリンピック制覇が目標なので、レターには応じて頂かないと困ります」

「わかっておる。安心せい、その時にはちゃんと送り出す」

「では明日以降は練習場でな詳しくはアリーシャに聞いてくれ」


そのアリーシャさんはなにやら深刻そうにスペイン語で会長と喋っている

『例の作戦通りじゃ、落としてくれ』

『でも、ちょっと難しいかもよ』

『その辺の匙加減はまかせる。お主のとりこにするのだ』


新しい新居にもどり寝ようとした時にアリーシャさんが入ってきた。

「アリーシャさんの部屋はあっちですよ」

「あら、野暮ねあっちの世話もするって昼に言ったでしょ」

豊満な胸をぐいぐいと押し付けながら部屋に入ろうとするアリーシャさん。

「僕には好きな女性がいるんです。とても今は考えられません」

「じゃしょうがないわね。また明日」


今日一日で体重が2kgは減った気がした。

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