第51話 友人の自転車屋と両親への挨拶


俺と嫁はいつもお世話になっている自転車屋に来ていた。

個々の店主は俺の幼馴染で通称徳さんこと森久保 宏次(33)今日は付添人と言うものを頼みに来た

男らしい良い奴なのだ


「おう久しぶりじゃねーか、お蔭さんで自転車売れまくりだぜ」


「そりぁよかった」

「今日は別嬪さん連れてどんな用事だい」

「ああ、俺達結婚したんだよ、それで付き添いをお願いできたらと思ってね」

「ええ、よろしくお願いしますわ」


怪訝な顔をして徳さんは語った

「ああそれはいいけどよ、金は大丈夫なのか、盗まれたんだろう」

「大丈夫だよ今も監督始めたしな」

「だったらいいけどよ、脱税じゃねーかって騒いでた奴がいたぜ」

「何よそれ如何いうこと」

のぞみは怒りをあらわに言葉を荒げた

「いや、普通は収入が億にもなれば半分は税金だが、従業員が持って逃げれば税金払わないで済むだろ」

「そいつは、どんな顔したやつよ?」


顎に手を当てて思い出そうとしている

「パーマを掛けて青いストライプのスーツを着た男だ」

思い当たる節があったのかのぞみはスマホを弄って写真を徳さんに見せた

「それってこいつ? 」


見た瞬間に解る"ピン"と来た顔だ

「そいつだ、知り合いかい?」

「いいえ、ストーカーよ見かけたら警察呼んで」


「あなたいくわよ」

猛然とした勢いで車の方へ向かっていく

「すまん徳さんあとで招待状だしておくわ」


俺達は警察へストーカー被害の報告をだしてから、のぞみのご両親に挨拶へ伺った


*********


俺は見た目に解るほど汗をかきながら、土下座していた


「ちょっと思っただけだよ。籍を入れて記者会見してから挨拶とはね」

のぞみのお父さんはそういった。おっしゃる通りで御座います


「あなた、若い人をいじめなくても良いじゃない」

そう言ってのぞみのお母さんは割って入ってくれた。ホント美熟女だよ。


「冗談だ、億万長者に嫁いで嫌なわけがなかろう」

「そうよ彼の年収は億単位なのよ」

「ちょっとやめてよお金で選んだみたいじゃない」


何故か上手く話せない


「そういえばこの家も古くなってきたわね」

「そうだな、改築したいものだ」

「クラブが儲かればね」


何故だろう緊張して体が動かない


「そういえば最近新しい車が欲しくなってきたな」

「あら嫌だ、私も欲しいブレスレットがあるのよ」

「ちょっとホント止めてよね。おねだりしてるみたいじゃない」


ああ、人間の欲は止まらないのだ。どこかで止めなければ


「僭越ながら結納代わりとして、私が用意させて頂きます」


全員に笑顔が戻った様だ。俺の緊張もとけた。きっといいことをしたんだよ

明日になったら忘れよう全部


のぞみの両親と別れの挨拶をかわして、家をでた。二度とここには来たくないと思ったが内緒だ


*********


両親と別れた後に、俺達は新居を探すことにした。

もちろん小さなコート付きの家だ


「お金大丈夫かな」

「大丈夫よ借金にするから」

「何それ如何いうこと」

「あなたの監督業は赤字申告にするのよ。税金対策で借金をして経費でおとすの」


広ーい庭付きの1戸建て、1億ほどするが、クラブを担保に借金をして俺個人の収入から経費として処理するそうだ

彼女に触れると、弾けるような笑顔で俺の腕を組んでいた。

幸せだった。俺は勝ち組みになったんだ、俺は彼女を真っすぐに見つめ合いの言葉を囁いた


俺達は幸せの絶頂にいた

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